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最小のイカにも注目を
 └─葛西  2013/07/19

(2013年8月26日追記:ヒメイカの展示は終了しました)

 「ダイオウイカ」は全長18メートルにもなる世界最大のイカです。最近、生体の撮影に成功し、テレビでも大々的に取り上げられたので、ごらんになった方も多いかと思います。では、世界最小のイカのことはご存じですか?

 太陽光が燦々とふりそそぎ、アマモなどの海草が生い茂る内湾に、その世界最小のイカは生息しています。名前は「ヒメイカ」、大きくなっても2センチ前後です。ほかのイカと同様、腕は10本で吸盤があり、そのうち2本の腕は餌を捕えるときに使用します。

 しかし、ヒメイカは、ほかのイカには見られない特徴をもっています。

 葛西臨海水族園東京の海エリア2階の「アマモ場の小さな生き物たち」水槽を見てみましょう。この水槽は、タツノオトシゴやツノモエビなどアマモ場でくらす小生物を展示しています。アマモの葉の表面や裏側をじっくりと観察してみてください。半透明の小さなイカがくっついています。そう、それがヒメイカです。

 ヒメイカはどこでアマモとくっついているのでしょうか? 吸盤のある腕ではなく、胴体の背中側でアマモにくっついています。ヒメイカの背中部分には、粘着細胞が集まっている箇所があり、胴体でくっつくことできるのです。

 ほかのアマモも見てみると、透明なゼラチン質のつぶつぶが葉についているかもしれません。それはヒメイカの卵塊です。ヒメイカは腕を使って直径1ミリほどの卵を1粒ずつ規則正しく並べていきます。

 世界最大のイカ「ダイオウイカ」の飼育展示は今後の夢であり課題の一つですが、残念ながら今はまだ生体をごらんいただくことはできません。一方「ヒメイカ」は、水族園はもちろん、近隣の海でも見つけることができるかもしれません。今年の夏は、ぜひ世界最大とともに世界最小のイカにも注目してみませんか?

写真上:アマモにくっついているヒメイカ
写真下:ヒメイカの卵

〔葛西臨海水族園飼育展示係 齋藤祐輔〕

(2013年07月19日)



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