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エゾシカ「Q」がやってきました!
 └─上野  2012/05/04

 2012年2月8日、夕闇の上野動物園に1台のトラックが到着しました。荷台には、人の背丈ほどの輸送箱が1つ。「彼」は、驚くほど静かにその中に座っていました。

 やってきたのは、エゾシカの「Q」(キュー)、釧路市動物園育ちの1歳11か月のオスジカです。

 2012年1月27日、東園シカ展示場でエゾシカのトンが死亡しました。17歳の長寿でした。Qは、トンの後継者として上野動物園にやってきたのです。

 Qのふるさとは、北海道の弟子屈町(てしかがちょう)で、北海道の東側にある摩周湖で有名な町です。

 2010年6月、Qは生後数日のときにこの町の「900草原」(きゅうまるまるそうげん)で保護され、釧路市動物園で育てられました。Qという名前は、この草原の名前に由来しています。その生い立ちのせいでしょう、とても人なつこい性格です。

 2012年3月22日にQは、展示場デビューしました。足元を確かめながら、匂いを嗅ぎ、恐る恐る緊張した面持ちで展示場を歩き始めたQの足どりはおぼつかず、腰も引けています。でも慎重だったのは初めだけ。さすがは元野外施設育ちです。30分と経たないうちに、大はしゃぎを始めました。丸太の遊具にじゃれついたり、隣のニホンカモシカを見に行ったり。暴れ馬顔負けのはしゃぎっぷりです。その日、私は若いQのパワーと順応力を、初めて目の当たりにしたのでした。

【Qの展示場デビュー動画】
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 そのときの隣人であるニホンカモシカ「ナギ」はというと、体がいつもの1.5倍(?)に伸び、瞳はこれ以上開かないというくらいに見開かれて、全身全霊でQのことを凝視していました。

写真上:恐る恐る登場
写真中:丸太ではしゃぐ「Q」
写真下:カモシカとご対面

〔上野動物園東園飼育展示係 齊當史恵〕

(2012年05月04日)



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