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魚の掃除屋、ホンソメワケベラ
 └─葛西  2012/02/03

 みなさんは掃除が好きですか。あまり得意でないという方もいるかもしれません。海の中には、「掃除好き」な生き物がたくさんいます。たとえばエビやナマコなどもそうです。今回は掃除をする魚を紹介します。

 葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「小笠原 礁」の水槽では、ホンソメワケベラという小さな魚が、日々掃除に励んでいます。何を掃除しているかというと、ほかの魚の体についている寄生虫や粘液などを取り除いて食べています。このような行動をとる魚をクリーナーフィッシュと呼び、何種類かが知られています。

 ほかの魚たちは、ホンソメワケベラが体の掃除をしてくれることを知っているようで、そばへ行って口を大きく開けたりえらぶたを広げたりします。水槽で同居している魚の一種オジサンも、ホンソメワケベラに掃除をしてもらっているときは体の色が赤っぽくなりとても気持ちよさそうに見えます。オジサンは興奮状態にあるときなどに、体色が変化する習性があります。
 みんな掃除をしてもらいたいのか、時にはホンソメワケベラの周りにベラやチョウチョウウオのなかまなどが集まって順番待ちをしていることもあるくらいです。

 ホンソメワケベラはときどき飛び跳ねるように泳ぐ独特のダンスをします。このダンスと特徴的な体のもようが「私は掃除をする魚です」という合図になっているおかげで、ホンソメワケベラを一飲みにしそうな大きな魚も、襲ってはきません。大きなウツボの口の中に入って歯の掃除をしたり、大きな魚のえらの中に入って掃除をしたりする姿が「世界の海」エリアの「南シナ海」の水槽で見られます。

 水族園では、上記の水槽以外にもいくつかの水槽でホンソメワケベラを展示しています。掃除しているようす、してもらっている魚の表情などぜひ観察してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 浅野晃良〕

(2012年02月03日)



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