ニュース
シロフクロウのプレゼント攻撃
 └─多摩  2011/05/06

 リフォームが完了した多摩動物公園のフクロウ舎で、シロフクロウが繁殖の準備を始めました。準備といっても巣材を運んだり、巣箱に入ったりというわけではありません。

 シロフクロウは、高い木が生育しない北極圏のツンドラ地帯に生息するため、地面にいることが多く、巣も地面に穴を掘ってくぼみを作り、そこに座って営巣します。獣舎をよく見てみると、地面に穴が見られます。これは、シロフクロウが懸命に掘った巣穴なのです。

 ほかにも繁殖に必要な行動があります。それは求愛給餌です。求愛給餌とは、繁殖期にオスがメスに餌をプレゼントすることをいいます。求愛給餌は、ペアの絆を強め、さらにこれから産卵するメスに栄養補給する役割があります。

 多摩動物公園のシロフクロウの場合、まずオスが餌用のネズミをくわえたまま低姿勢になり、羽を広げて「ボボボボ」とメスを呼ぶように鳴きます。するとメスもソワソワしだし、徐々にオスに近付いていきます。そして、オスの鳴き声に対し、メスも甘えるような「キュルルルル」という鳴き声で返事をします。

 最後に、低姿勢のままオスがメスにネズミを渡しに行き、メスがネズミを受け取って求愛給餌が完了します。

 一生懸命なオスですが、実は繁殖期以外ではネズミを獲ってもすぐに自分で食べてしまいます。そのためこの行動は今しか見られません。

 例年、シロフクロウが産卵するのは5月下旬です。これから、ますますペアの絆が深まり、求愛給餌の回数も増えていきます。メスが安心して産卵できるように、オスには引き続き、プレゼント攻撃を頑張ってもらわなければなりません。

 現在、この求愛給餌は猛禽フライングケージ側のペアでは盛んですが、タヌキ山側のペアでは、メスにネズミを受け取ってもらえないことが多く、オスがひたすらネズミをくわえたまま鳴き続けていることがあります。その健気な姿に頑張れと応援していただくこともたびたびです。

 求愛給餌をはじめ、繁殖期限定の営巣する姿やオスがメスにアピールする姿など、今だからこそ見られる様々な姿を、ぜひ見に来てください。

写真上:ネズミをくわえてメスを呼ぶオス
写真中:オスがネズミをプレゼント(茶色の斑があるほうがメス)
写真下:ネズミを受け取ったメス

〔多摩動物園南園飼育展示係 宇野なつみ〕

(2011年05月06日)



ページトップへ