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カニ釣りのイメージトレーニングは水族園で!
 └─葛西  2011/01/21

 寒いですね。この時期は、寒さで体が縮こまって、野外で遊ぶ気にはなりません。ましてや海や川といった水辺ではなおさらです。葛西臨海水族園周辺では、人間ばかりでなく干潟や林にすむカニたちも、寒さのためかほとんど姿を見せません。また、水族園のカニ水槽でも、暖かい時期に比べるとカニたちの活動がほとんど見られません。

 そんな中、身近なカニの動きを観察できる水槽があります。それは東京の海エリアの「運河」水槽です。この運河は両河岸が垂直に切り立ったコンクリートで、そこにマガキやイガイのなかまなど多くの二枚貝がびっしりと付着し、ハゼやイソギンポのなかまなどの魚類やカニなどの格好の住処(隠れ家)となります。

 そこにくらすカニの代表選手が「タカノケフサイソガニ」です。暖かい時期には葛西臨海公園の水辺でカニ釣りの対象としてとても人気のあるカニです。

 このカニは、水槽内ではカキ殻の隙間や石の下に潜み目立ちませんが、運よく餌の時間に出くわしたらチャンスです。水槽内をよく見ていてください。飼育係が与えた餌(エビやアサリを細かく切ったもの)が上から落ちてきて、物陰からカニたちが次々と姿を現します。そこで、水槽内の情景を前に、心の中で春の葛西臨海公園の水辺へと重ねてみてください。暖かい日差しと心地よい潮風の吹く中でのカニ釣りのイメージトレーニングです。

  実際のカニ釣りの「しかけ」は餌の「さきイカ」をタコ糸で結んだもので、これをカニの待つ水中に落とすとイメージします。数秒後、餌の匂いにおびき寄せられたヤツらが近づいてきます。ヤツが餌を軽くつかむのを見ると、すぐ引き上げたくなるかもしれませんが、高ぶる気持ちを抑えて我慢!ヤツが餌をがっちりつかみ、さらに、さきイカの上に乗ったら、ゆっくりとタコ糸を引き上げましょう。

 といっても、この瞬間に、「いまだ!」と叫ばないでくださいね。ここは屋内ですから……。

写真上:タカノケフサイソガニ(右上)名前の由来になったハサミに生えた毛の房
写真下:タコ糸に結んださきイカに近づくタカノケフサイソガニ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 田辺信吾〕

(2011年01月21日)



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