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ゴリラの子「コモモ」成長記と公開準備
 └─上野  2010/04/16

 昨年(2009年)の11月14日、ニシローランドゴリラの「コモモ」が安産で生まれてから、早いもので5か月が経ちました。

 ゴリラの新生児は病気になりやすいので、モモコ親子は晩秋から冬、早春にかけての寒い季節、ほとんどゴリラ舎内で過ごしていました。舎内では、真向かいの部屋にいる父親のハオコが毎日、親子のようすを眺めています。いっしょになりたい気持ちをおさえ、じっと見つめる穏やかな眼から、ハオコの気持ちが伝わってくるようです。

 日中、ハオコはトトとナナとともに放飼場で過ごし、夕方、展示を終えて室内に戻ると、モモコが「グゥッ、グゥーン」と上機嫌の声を発してハオコたちを迎えています。

 月齢ごとの成長を飼育業務日誌から紹介しましょう。

◎2009年12月14日(1か月齢)──やや寒い。裏の運動場まで開放にしたが、モモコは外へ出ず。移動用通路の中途までは動く。室内ではモモコは子をワラ上に置き去りにして、ようすを見ていることが多くなった。ビァビァと泣くと抱き上げる。これも馴致(慣らすこと)だろう。子は眼が見えている。

◎2010年1月11日(約2か月齢)──裏の運動場まで行かず、移動用通路と室内で終日過ごす。モモコは、食欲も子の面倒見も良好。仰向けになっているコモモの頭を起こし、そのままうつ伏せにさせてしまう。コモモは四肢を踏ん張って立つが、すぐに倒れる。前歯のうちの1本が見える。

◎2010年2月10日(約3か月齢)──コモモはヨチヨチ歩きで前進する。夕食のトマトの表面を前歯上下4本で少し齧って味わっている。キャベツを舐める。

◎2010年3月13日(約4か月齢)──親子ともに元気良好。コモモは間食のリンゴ、夕食のトマトを前歯でガシガシ齧り食べている。メッシュの間から指を入れると、絡めて遊んでくる。本日は天気良く暖かい日だが、裏の運動場まで行かない。

 さて、モモコ親子を放飼するにはいくつか条件があります。外気温が16℃以上であること(バードケージ横の百葉箱の温度計で計測)、晴天・無風であること、コモモを外の環境に慣らしてあること、などです。私たちは天気予報を欠かさず確認し、週間予報に合わせて出勤の予定を立てました。しかし、4月に入っても寒い日が続き、親子を出せない日がありました。しかし、4月1日と6日は条件に合っていたので外に出しました。

 モモコ親子を初めて外に出したのが4月1日。ハオコとトト(メス)を室内に入れ、運動場に残したナナ(メス)とモモコ親子をいっしょにしました。午後2時46分から4時16分まで出したのですが、最初の24分間はモモコに落ち着きが見られず、ナナに対してドラミングをしたり、威嚇のために走ったり、興奮状態です。その後、モモコはコモモの毛づくろいをしたり、いっしょに遊んだりして落ち着いてきました。外に出したときの気温は20℃以上でした。

 つづいて4月6日、ハオコ、トト、ナナを通常どおり外に出し、午後2時30分から入れ替わりでモモコ親子とナナを出しました。この日、モモコはとても落ち着いており、ナナを追うようなことはありませんでした。モモコ親子は午後4時15分で室内に入れました。放飼時の気温は18℃以上でした。

 現在、モモコ親子の正式なお披露目をお知らせするまでに、モモコ親子が環境に慣れ、ゴリラどうしも群れとして慣れるように努めています。ナナ、ハオコ、トトたちがコモモの新入を歓迎し、ハオコお父さんを中心にいい家族を作ってほしいと願っています。

〔上野動物園東園飼育展示係 今西亮〕

(2010年04月16日)



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