上野動物園西園の一角に位置する「小獣館」。その地下ではさまざまな夜行性の哺乳類を飼育しています。
今年(2009年)6月5日、フサオネズミカンガルーの繁殖をお伝えしました(
ニュースはこちら。子どもの全身が母親の袋から出たのは6月1日でした)。
そしてまた! 同じペアから、子どもが生まれました。
前回の子どもはオスでしたが、今回の待望のメスです。
前回、「赤ちゃんの体の一部が育児嚢の外に出た日」から「全身が出た日」(出袋:しゅったい)まで13日、それから育児嚢に戻らなくなるまで9日間かかりました。今回は、それぞれ17日と7日でした。根菜類などの固形物を食べ始めたり、母親から離れてひとりで行動し始めたりするのは今回の方が早く、オスよりメスの方が独立心が強いのかも……と勝手に推測しています。とはいえ、まだまだ母親が恋しいようで、あとをついて回ったり、おっぱいをせがんだりしています。
母親も子どもをしきりになめてケアするなど、ベテランぶりを発揮しています。父親や兄もときどき子どものようすを伺いに来ますが、たいてい床の上にいる子どもの上をジャンプして通り過ぎて行ってしまいます。
最近、床に敷いてある乾草の下に子どもが潜って休息していることがあり、「いない!」と思ってあわてて乾草の下を確認することがあります。また、掃除のために部屋に入ったとき、乾草の上から踏んでしまわないよう気をつけています。
小動物は成長が早く、今日は母親からおっぱいをもらっていても、数日で飲まなくなり、すぐ完全に自力で餌を食べるようになります。でも、まだまだ体は小さく、親のミニチュア版といった感じです。かわいいフサオネズミカンガルーの赤ちゃんを、今のうちにぜひ見に来てください!
写真上から:
◎お母さんとツーショット(出袋後5日目)
◎育児嚢から出た後もしばらくはおっぱいを飲んでいます
(母親の乳首や育児嚢の入口はよく伸びます)
(出袋後5日目)
◎もう固形食も食べます(出袋後10日目)
〔上野動物園西園飼育展示係 井上智右〕