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ニホントビナナフシのオスを発見!!
 └─多摩  2009/10/30

 今年はニホントビナナフシがたくさん発生しているようだったので、2009年10月18日、多摩動物公園園内で採集してみたところ、92匹も採れました。その92匹をよく観察してみると、動物病院の近くで採集した1匹が、なんとオスだったのです! まったく予想もしないことでした。

 ニホントビナナフシは単為生殖をします。つまり、未受精卵から個体が発生し、オスはごく少数しか見られません。しかも、これまで多摩動物公園でオスを採集した記録はなかったのです。

 トビナナフシのオスの発生状況は地域によって異なります。屋久島より南の気温が高い地域では、オスとメスが交尾し産卵するのがふつうです。緯度が高くなるにつれオスは見られなくなります。

 神奈川県でも毎年数匹ながらオスの出現記録があるようです。おそらく、海岸に近い林など、気温が高くなるような環境なのでしょう。これまでオスの採集記録がない多摩動物公園でニホントビナナフシのオスが見つかったことに、ただただ驚きました。

 オスを採集したのは朝8時です。まずは自分の担当する昆虫の飼育作業にとりかかり、午前中の仕事が一段落した11時50分ごろ、ニホントビナナフシに食草を与えようとケースの中のオスを見ると、ほとんど動いていません。オスを食草の上においても食べようとせず、口器を水で濡らしてやっても飲まず、残念ながら死んでしまいました。

 ニホントビナナフシのオスは、メスにくらべて体が短く、腹部も細いのが特徴です。オスのこの華奢な体型を確認してはいたものの、メスと同様の体力を予想し、簡単に死ぬことはないと思いこんだのは反省点でした。

写真上:オス
写真下:メス

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 三枝博幸〕

(2009年10月30日)



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