2011年2月22日(火)から、ニュースでもお伝えした「ヤマネコ舎まえケヤキしたのちいさなおうち」で、ちいさな企画展「ノウサギをみたことがありますか?」を始めました。この企画展は福島県天栄村のEIMY湯本地域協議会、天栄村と福島県立会津高校講師岩崎雄輔さんの協力を得て開催しています。
「うさぎ追いしかの山~」は誰もが知っている唱歌のフレーズですが、ノウサギはかつて日本人にとってとても身近な存在でした。各地でウサギ猟がおこなわれ、その一つ「ウサギ追い」は地域の伝統行事にもなっていました。しかし現在、ノウサギを見たことがない人が増え、ウサギ追いの文化もなくなりつつあります。
この企画展では天栄村のノウサギを例に、そのくらしぶりや、数が減りつつある現状を標本や解説パネルで紹介しています。
企画展を開催するきっかけとなったのは、2011年2月26日~27日に東京動物園友の会会員を対象に実施した「ウサギ追いと里山のくらし体験」ツアーです。ツアーでは、天栄村でおこなっている「巻き狩り」によるウサギ猟をヒントに開発された観察プログラム「フォトハンティング」を体験しました。ウサギを追う側と、待ち伏せしてカメラで撮影する側に分かれ、雪上を歩きながら、休息しているノウサギを追い出して観察する、という内容です。
その後、宿泊先となる地元の温泉宿で、地域の方々との交流会の時間を設けました。また、ノウサギの減少と人間のくらしの変化についてお話を聞いたり、EIMY湯本協議会の方に人と自然の関係を見直す取り組みについてお話しいただいたりしました。
このツアーも企画展も、天栄村でのノウサギと人のくらしの関わりを知ることで、野生動物と人の関係を考えるきっかけを提供するのがねらいです。企画展は5月8日(日)まで開催しています。
写真上 :ノウサギの毛皮や足の標本なども展示している
写真中上:ツアーのようす(神社でムササビの巣穴や糞を観察)
写真中下:ツアーのようす(打ち豆体験、翌日の朝食に出た)
写真下 :ツアーのようす(雪上を歩きながら大声でノウサギを追い出す)
〔井の頭自然文化園教育普及係 天野未知〕
(2011年03月04日)
|