体表のわずかな凸凹やトゲの1つ1つ、迷路のように複雑な模様──。
この冬、葛西臨海水族園では、虫眼鏡で拡大しても損なわれることのない美しさをもつ絵をご紹介します。
博物画は、写真がなかった時代から、動植物や鉱物などの姿を詳細に記録するために描かれ、図鑑や論文の挿絵などに利用されてきました。画家の杉浦千里さんは、2001年に39歳の若さでなくなるまで、甲殻類(エビ・カニの仲間)の博物画制作に情熱を注ぎました。ほぼ独学で描かれたという作品には、いったいどうやって書いたの!? と思わずにはいられないほど、細かな特徴が再現されています。
実は、エビやカニは夜行性であったり、岩陰に隠れたりしていることが多く、水族館の水槽ではその全身や細かいところをなかなか見ることができません。ぜひ会場に来て、絵におもいっきり顔を近づけてご覧ください。新たな発見があること間違いなし!
作品を基にしたオリジナルぬり絵も用意してお待ちしています。どうぞお楽しみください。
日時 2011年12月15日(木)~2012年2月28日(火)
※終日展示しています。
場所 葛西臨海水族園本館2階レクチャールーム
出展協力
杉浦千里さん
1962年4月10日 横浜市神奈川区生まれ。日本美術学校日本画専科を1980年に卒業後、イラストレーター、フィギュアデザイナーとして活動しながら、美学校細密画教場で細密画の技法を学ぶ。在学中より細密画のグループ展に出展。「原色魚類大図鑑」北隆館(1987年)、「学習百科図鑑」小学館(1995年)などの仕事を手掛ける一方、独学で甲殻類の標本画制作に取り組む。自ら作成した標本を基に、正確な作図と生きていた時の色彩を再現する独自の技法を確立。千葉県立中央博物館「現代の動物画、植物画展」(1996年)、ギャラリー文房堂「NatureART-野生生物画展」などに参加。2001年11月10日、39歳で急逝。円谷プロダクションのキャラクターデザイナーとしても知られる。
杉浦千里さんや、これまでの展示会についての詳細は、
「杉浦千里の作品保存会」のホームページをご覧ください。
・写真は杉浦千里さんの作品
上 ニシキエビ
左下 ヤシガニ
右下 アサヒガニ
(2011年10月27日)