彫刻館特設展「
塑造+仏像──北村西望とみほとけ」では、彫刻家・北村西望による仏像彫刻と画を約40点展示します。
北村西望は浄土真宗を熱心に信仰する両親のもとに生まれ、「西方の極楽浄土を望む」という意味で「西望」と名付けられました。西望は東京での学生時代に西洋彫刻技法として導入された塑造(粘土で制作する彫刻術)を学び、躍動的で生命感あふれる、塑造の特質を活かした肉体表現で、当時の文展において評価を得ました。
写実的な肉体表現がコンクールで評価されるなか、西望は仏像の小品をもっぱら自分のために制作していました。それらは展覧会で発表されず、戦中の金属供出においても接収されることもなく今に残っています。
戦後、公共彫刻として仏像制作の依頼が西望のもとに続きます。広島に設置された≪聖観世音菩薩≫は、恒久平和を願うシンボルとしての観音菩薩のイメージが採用されています。と同時に、かつての写実的な肉体表現と、石膏直付法による膨張した量感がひとつに統合され、西望独自の塑造による仏像表現として昇華していきます。
彼の人生における長い制作史のなかで、個人の信仰心から生まれた仏像制作が、塑造による仏像表現として独自の発展を遂げていく過程を、出品作品をもとにご覧いただきます。
期間 2019年11月19日(火)~2020年2月29日(土) 9時30分~16時30分
場所 彫刻館B館 特設展会場
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「塑造+仏像──北村西望とみほとけ」 メインビジュアル | 北村西望《聖観世音菩薩》 1939年、石膏着色、78×24×24㎝ |
(2019年10月07日)