催し物
22/2/6 野生生物保全センター オンライン講演会「未来につなごう! 世界に誇れる小笠原の生き物たち」開催
 └─多摩 2021/12/23
 多摩動物公園では、小笠原諸島が世界自然遺産登録10周年を迎えたことを記念し、都立動物園・水族園が取り組む小笠原のさまざまな希少生物の保全に関するオンライン講演会「未来につなごう! 世界に誇れる小笠原の生き物たち」を開催します。

 小笠原諸島は大洋のなかに形成されて以来、一度も陸地とつながったことがないため、独特な生態系をつくり、独自の進化を遂げました。世界でもここでしか見られない固有種が多く見られることから、「東洋のガラパゴス」とも言われています。しかし、近年は外来種の影響などで、貴重な小笠原の生き物たちの生活が脅かされています。

 この講演会では、都立動物園・水族園が取り組んでいる、小笠原の希少生物の飼育下での保全や調査とともに、小笠原で保全活動に携わる方々から、小笠原の自然環境、固有種が希少種になっていった経緯や現況、保全の取組みなどについてご紹介いただきます。

 小笠原の生き物が置かれている状況や取組などを通して、希少生物を守る活動や、動物園にできる保全について考えます。

日時  2022年2月6日(日) 10時~16時

場所  ウェブ会議サービス「Zoom」を使ったリモートで実施

対象  小学生以上

定員  300名 ※事前申込制(先着順)

参加費 無料 ※通信料は参加者ご自身の負担となります。

内容
10:00ごあいさつ
10:10〜10:40講演1「世界自然遺産小笠原の生物と保全の取組」
10:40〜11:00講演2「小笠原諸島におけるユウゼンの生態調査」
11:10〜11:40講演3「カタツムリの楽園復活のためのABC」
11:40〜12:00講演4「陸産貝類-動物園で守るカタツムリ-」
13:00〜13:30講演5「オガサワラシジミの生息域外保全-これまでとこれから」
13:30〜14:00講演6「人々の連携によって帰ってきた幻の島バト」
14:10〜14:30講演7「アカガシラカラスバト──飼育下保全の取り組み」
14:30〜14:50講演8「日本で最も絶滅の危機にある固有の鳥 オガサワラカワラヒワ」
14:50〜15:00講演9「飼育していない鳥を守るために動物園ができること」
15:15〜16:00質疑応答、ごあいさつ

◆講演1「世界自然遺産小笠原の生物と保全の取組」
 若松佳紀 氏(環境省関東地方環境事務所 国立公園保護管理企画官)

【要 旨】
 小笠原諸島は、本州の南方1000kmの洋上に位置する海洋島です。小笠原の生物は鳥や風や流木に運ばれ偶然たどり着いたものの子孫で、独自の進化の結果、固有種(世界で小笠原だけにくらす生物)の割合が高いことから、小笠原は「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。2011年には世界自然遺産に登録され、関係機関による外来種対策などの自然環境保全の取組みが実施されています。

【若松氏プロフィール】
 2010年度環境省入省。那覇自然環境事務所、福島再生事務所、本省外来生物対策室、環境影響審査室、林野庁を経て2021年度に小笠原自然保護官事務所に着任。趣味はバードウォッチング。

若松佳紀氏
小笠原諸島

◆講演2「小笠原諸島におけるユウゼンの生態調査」
 松村 哲(葛西臨海水族園 飼育展示課 調査係)

【要 旨】
 ユウゼンは、伊豆諸島から小笠原諸島を中心に分布する日本固有のチョウチョウウオ科魚類です。本種は、乱獲が懸念される一方で生態に関する報告は少なく、2011年度版東京都レッドデータブックに留意種として、環境省版海洋生物レッドリストに情報不足として掲載されています。
 本発表では、葛西臨海水族園が小笠原諸島にて取り組む調査活動と、得られた知見、その普及活動について紹介します。

松村哲
ユウゼン

◆講演3「カタツムリの楽園復活のためのABC」
 森 英章 氏(一般財団法人自然環境研究センター)

【要 旨】
 小笠原世界自然遺産のロゴのセンターを飾るのが、カタツムリであることをご存じでしょうか。海洋島という舞台で100種を超える多様な進化を遂げたカタツムリたちの楽園は小笠原の誇りです。しかしいま、彼らに絶滅のピンチが訪れています。ここまで10年を越えて、地域・行政・研究者のチームワークで「楽園復活」のために進められてきた取組みの数々をご紹介します。

【森氏プロフィール】
 幼少のころから虫ハカセが夢。大学在学中に小笠原と島にくらす生物の魅力に取りつかれ、現職では6年間小笠原に赴任。以後、島の陸貝や昆虫の保全を専門に。東北大学大学院生命科学研究科単位取得退学、博士(生命科学)。現在、(一財)自然環境研究センター上席研究員。


森英章氏

◆講演4「陸産貝類-動物園で守るカタツムリ-」
 伊藤達也(井の頭自然文化園 飼育展示係)

【要 旨】
 2017年から都立動物園・水族園では、環境省が進める小笠原諸島固有の陸産貝類の保護増殖事業に参画しています。
 カタマイマイとアナカタマイマイという2種類のマイマイ(カタツムリ)を都立動物園・水族園4園で分散し、繁殖・展示に取り組んできました。各園で行われている飼育管理をはじめ、展示・教育普及活動の現状についてお話しします。

伊藤達也
カタマイマイ

◆講演5「オガサワラシジミの生息域外保全-これまでとこれから」
 古川紗織(多摩動物公園 教育普及課 昆虫園飼育展示係)

【要 旨】
 オガサワラシジミは国内でもっとも絶滅の恐れがあるチョウのひとつと言われています。多摩動物公園では、2005年から生息域外保全として飼育技術の確立に取り組んできました。2016年以降、世代を重ねて飼育を継続することに成功しましたが、2020年に残念ながら飼育が途絶えています。これまでの取組みと現在の状況、今後についてお話しします。

古川紗織
オガサワラシジミ

◆講演6「人々の連携によって帰ってきた幻の島バト」
 堀越和夫 氏(NPO法人小笠原自然文化研究所 理事長)

【要 旨】
 2000年ごろ、小笠原のアカガシラカラスバトは、生息数40羽程度という絶滅の縁にありました。この「幻の島バト」を救うため、2008年に「アカガシラカラスバト保全計画づくり国際ワークショップ」が開かれ、保全計画が策定されました。地元と島外のさまざまな関係者が連携することにより、脅威が取り除かれ、現在は島中でハトが増えてきています。13年間に及ぶ広範囲な保全活動を振り返り、現在の成果を紹介します。

【堀越氏プロフィール】
 1956年東京生まれ、学生時代から小笠原諸島に通い、ウミガメ類の保全生態研究に取り組む。2000年に、地域の環境保全活動のコアとなる小笠原自然文化研究所を、同僚2名と立ち上げ、現在に至る。


堀越和夫氏

◆講演7「アカガシラカラスバト──飼育下保全の取り組み」
 大賀幹夫(恩賜上野動物園 飼育展示課 西園飼育展示係長)

【要 旨】
 小笠原諸島の固有の鳥アカガシラカラスバトは環境省のレッドリストのIA類(CR)に記載される絶滅危惧種で、天然記念物にも指定されています。東京動物園協会でのアカガシラカラスバト飼育下保全について、2001年の受入れから現在までの取組み、今後の展望をご紹介します。

大賀幹夫
アカガシラカラスバト

◆講演8「日本で最も絶滅の危機にある固有の鳥 オガサワラカワラヒワ」
 川口大朗 氏 (一般社団法人 Islands care)

【要 旨】
 小笠原諸島の固有の鳥オガサワラカワラヒワは、個体数が激減し、世界でわずか200羽程度しかいないと考えられています。危機的な状況を受けて、専門家、NPO・NGO、地域住民、関係行政機関などが立場を超えて集まり、「オガサワラカワラヒワ保全計画づくりワークショップ」を開催しました。生態や現状のほか、同ワークショップ後に実施された保全対策や調査についての最新情報をお伝えします。

【川口氏プロフィール】
 2009年に小笠原に移住し、南硫黄島や西之島など小笠原諸島の島々にて、海や山の調査に携わる。2014年から横浜国立大学大学院に進学し、オガサワラカワラヒワの研究を開始。2020年、一般社団法人Islands careの代表となる。

川口大朗氏
オガサワラカワラヒワ
(写真提供:川口大朗氏)

◆講演9「飼育していない鳥を守るために動物園ができること」
 高橋幸裕(恩賜上野動物園 飼育展示課 東園飼育展示担当係長)

【要 旨】
 オガサワラカワラヒワはかつて小笠原諸島に広く分布していましたが、現在は分布域が縮小し、個体数の減少により絶滅が懸念されています。これまで動物園では絶滅に瀕した希少種を保全する場合、生息域外での飼育繁殖などにより種保全に取り組んできました。今回は絶滅に瀕したオガサワラカワラヒワを飼育せず、動物園で守るための取組みについてご紹介します。


高橋幸裕

応募方法

 受付フォームで以下のとおりお申し込みください。

 お申し込みの際は、@tokyo-zoo.net及び@form.kintoneapp.comからのEメールを受信できるよう、迷惑メールフィルターやメールソフトを設定してください。特に携帯電話からお申し込みの方はご注意ください。
 なお、お申し込み後に自動返信メールが届かない場合は、多摩動物公園 教育普及係までご連絡ください。

こちらの受付フォームからお申し込みください

 ※外部サイト(kintoneapp.com)に移動します。kintoneapp.comは、トヨクモ株式会社が管理運営するウェブサイトです。今回のプログラム参加者募集に際して応募者の方々からご提供いただく個人情報は、トヨクモ株式会社が管理するサーバーに厳重に保管し、目的のための使用終了後、すみやかに削除するなど、厳正かつ適正な運用をおこないます。

 【問合わせ先】多摩動物公園 教育普及係 042-591-1611(代表) ※受付時間は9時30分〜17時
 【締   切】2022年2月3日(木)送信分まで有効

※12月23日(木)から募集を開始し、先着順で受け付けます
※締切前に定員に達した際は、多摩動物公園公式サイトでお知らせします。
※お申し込みの際ご提供いただいた個人情報は、当該プログラムに関するご連絡のみに使用いたします。
 また、データの保管や削除など、個人情報については厳重な管理をいたします。

応募の注意事項

  1. 応募はひとり1回に限ります。また、1回につきひとり分のみ応募できます。同じ応募者による複数の応募はすべて無効となりますのでご注意ください。
  2. 本企画はウェブ会議サービス「Zoom」を用いて実施します。接続に必要なPC環境はご自身でご用意ください。
  3. このプログラムへの参加は無料ですが、通信料は参加者ご自身の負担となります。
  4. ウェブ会議サービス「Zoom」への接続に必要なURLなどは、参加者にメールにてお知らせします。お申込時に記入いただいたメールアドレス宛に招待メールをお送りします。@tokyo-zoo.netおよび@form.kintoneapp.comからのEメールを受信できるよう、迷惑メールフィルターやメールソフトを設定してください。

※実施についての最新の情報は多摩動物公園公式サイトをご確認ください。

(2021年12月23日)



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