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モンゴルマーモットに連戦連敗
 └─2007/10/05

 上野動物園の子ども動物園にモンゴルマーモットがデビューして早1か月が経ちました。展示舎完成のニュースと、動画ニュースはこちらです↓

・ニュース「モンゴルマーモットの新展示舎完成!」(2007年9月7日)
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=7595

・東京ズーネットBBの動画「モンゴルマーモット」(2007年9月15~18日撮影)
https://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0709_03/index.html

 広い展示場にだいぶ慣れてきたのか、さまざまな行動が見られるようになりました。それはとってもよいことなのですが、一つ、担当者が困ってしまうことがあるのです……。それはモンゴルマーモットの「本業」ともいえる“穴掘り”です。

 新展示場に入れたばかりのころは、お客さんから見えやすい場所にある小屋の中で落ち着いていたのでひと安心していたのですが、それから2週間ほど経った休園日のこと。掘っていたはずの穴の入口が見えません。しかも、オスのすがたが見あたりません。穴は外からふさがれたようにも見えます。外にいたメスがオスを閉じこめたのでしょうか? 生き埋めになっていたらどうしよう!と心配しながら、あわてて巣箱に近づくと、「キューキュー」という鳴き声が聞こえてきました。

 二人がかりで巣箱を持ち上げてみると、その下には、1頭が入っても少し余裕のある空間ができていて、オスは元気なようすです。小屋の中に入れた乾草もちゃっかり持ち込まれていました。その空間の周囲の壁はしっかり固められています。外にいたメスの鼻先を見ると、土がいっぱいついていました。

 モンゴルから来たこの2頭は、しばらく土のない場所で生活していたのに、ちゃんと穴掘りを覚えているんだなぁと感心してしまいました。しかし、地下に巣をつくられてしまうと水没なども心配なので、掘られた穴を埋め戻し、穴を掘りそうなところに重たい石を置きました。

 ところがその2日後、メスは自分の顔の大きさ以上もある石を、きれいにどかしてまた穴掘りをしていたのです。そのパワーにはもうびっくりです! 対策として、さらに重たい石を置きました。すると数日後、その石の下を掘られてしまいました。う~ん……、甘く見ていた!

 その後も、穴を掘られないよう、コンクリートの板を置いたり、側溝のふたなどにつかうグレーチング(金属製の格子)をしいたり、あの手この手で対策を講じました。なのに、モンゴルマーモットはそのたびに野生を発揮してくれます。今のところ5回掘られ、5回埋めました。5戦5敗中……(泣)。

 とはいえ、穴を掘られるたびに、彼らの野生の強さとたくましさを実感。穴掘りをしているところは、上記動画のページをごらんください。飼育係とモンゴルマーモットの知恵比べ(力比べ?)はまだまだ続きそうです。

〔上野動物園子ども動物園係 高橋美紀〕

(2007年10月05日)



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