ちょっと前の話です。最近話題のモンゴル出身の力士・朝青龍が、同国出身の時天空と激論をかわしたそうです。議論のもとは「プレーリードッグとモンゴルマーモットは同じ種類かちがうか?」というもの。ちがうと主張する朝青龍と、同種だと言い張る時天空。つぎの日、二人が上野動物園の動物相談所にかけこんで答を求めたところ、「おなじリス科ながらまったくの別種」という回答が出て、軍配は朝青龍に上がりました。朝青龍は晴れ晴れとした顔で帰っていったとのことです。
さて、そのモンゴルマーモットの新展示舎が上野動物園の子ども動物園内に完成! 朝青龍がモンゴルに帰国したのと同じ2007年8月29日、引っ越し作業をおこないました。大型ポリバケツに収容して新展示舎に移動します。モンゴルマーモットはしばらく非公開だったので、久しぶりのお目見えとなりました。
新展示舎は、ヒツジやヤギが放し飼いになっている広場の一角に作りました。広場を見おろすテラスの一部を改装し、段差を利用して、地下で生活するモンゴルマーモットの生活を見てもらおうという設計です。正面はガラスなので、モンゴルマーモットたちが間近で見られます。
移動当日はしばらく地面を歩いていたものの、ガラス面からすぐそばにある、乾草を入れた小屋にこもりっきりになりました。しかし、4日目の早朝、草の生えた地面の上に出てきているのを発見! ここは牧草のタネをまいておいた場所で、2頭は少し生えてきた新鮮な牧草を食べていたのです。
さて、昨日(2007年9月6日)のこと。外は台風の前ぶれの大雨です。雨に弱いと聞いていたモンゴルマーモットが心配して見に行くと、やっぱり小屋の中でじっとしています。しかし、2頭とも被毛のおもてが濡れていました。まさか、雨漏り? 不思議に思って担当者に聞くと、今日は雨だというのに、餌のサツマイモを食べに出てきていたそうです。
夕方には土砂降りとなりましたが、2頭は小屋の入口で水の侵入を防ぐかのように、せっせと土を運んでいました。土のある生活はひさしぶりのはずなのに、野生で見せるような、鼻で土を押し固める行動もとっています。これならだいじょうぶだろうと判断し、乾草を小屋に多めにいれて帰宅しました。
そして、台風直撃の翌朝。小屋の中の2頭は乾草にもぐるようにして目だけ出しています。雨が上がると、草地に出て草を食べ、立ち上がって周囲をうかがう行動も見られました。
モンゴル平原で見られるようなモンゴルマーモットの雄姿が、まもなく新展示舎に登場することでしょう。
写真上:新展示舎の草の上でくつろぐモンゴルマーモット(2007年9月7日)
写真中:新展示舎
写真下:2007年8月29日、モンゴルマーモットの移動
〔上野動物園子ども動物園係長 高藤彰〕
(2007年9月7日)
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