もうすぐ桜が咲こうとしている子ども動物園で、私がいつもの黄色いツナギにグレーのスニーカーをはき、「なかよし広場」で打ち合わせをしていたときのことです。足を突然の痛みが襲いました。この広場では、ヤギやヒツジ、ニワトリなどが放し飼いになっていますが、足もとを見ると、そこにいたのは、「アカザサチャボ」というニワトリの品種。首のあたりの羽や尾羽を立て、頭を下げて攻撃姿勢をとっています。
その後、足とくちばしを使って、私に対する攻撃が十数回続きました。といっても、痛みはたいしたことはありません。その場を離れても、アカザサチャボはついてきて攻撃を続けます。
近くにいた黒いゴム長靴をはいた人を呼んで、私とアカザサチャボのあいだに入ってもらったところ、その人にはまったく攻撃をしません。そこで私はジーンズに着がえてみました。すると、ズボンへの攻撃はなくなりましたが、グレーのスニーカーには、くちばしによる攻撃がやみません。
スニーカーを長靴にはきかえてみると、やっとアカザサチャボは無関心なようすになりました。こちらから近づいてみても、とりたてて反応はありません。黄色のツナギに茶色の革靴という組み合わせも試してみました。すると、弱いながらも足蹴りをくらいました。
どうも、ツナギの黄色とスニーカーのグレーが、アカザサチャボを攻撃的な気分にさせているようです。アカザサチャボの羽毛は赤と黒を基調としています。黄色い色はどこにもありません。なにが攻撃的な衝動をつくりだしているのでしょう。
アカザサチャボの攻撃のあいだ、なかよし広場でいちばん大型なニワトリ、「ロードアイランドレッド」という品種個体が近くに控えていました。やはり赤と黒の羽色をしたロードアイランドレッドも羽毛を少し逆立て、どうやら攻撃したいようなのですが、躊躇しています。体の大きなロードアイランドレッドの攻撃を受けずにすんで、ホッとしました。
つぎの日も、開園前の広場を歩いていると、アカザサチャボが寄ってきて、しっかり足蹴りをくれました。ちょっとした痛さはともないますが、けがをするほどではありません。チャボと関係をもちたい方は、黄色のズボンとグレーのスニーカーで子ども動物園にどうぞ。比較的すいている午前中が楽しめます。
〔上野動物園子ども動物園 高藤彰〕
(2007年3月30日)
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