昨年(2002年)8月、上野動物園の開園 120周年と東京動物園友の会の創立50周年を記念して、俳優の浜畑賢吉さんによるミュージカルトークを上演しました。
その浜畑さんが今月、『戦場の天使』(角川春樹事務所、本体1300円)を上梓。上野動物園にやってきたヒョウ「八紘」の物語です。
『上野動物園百年史』p.156
昭和17年5月30日には、中支派遣軍第6884部隊の成岡なる兵隊から昭和16年春生まれたばかりで捕えられ、部隊のマスコットになっていたヒョウが1頭送られ、「八紘」と名付けられて、新聞をにぎわせた。このヒョウは、後に、これを世話したという兵隊が動物園に訪れたり、戦後も、『豹と兵隊』という本になって出版されたり、いくつかの話題をかかえた動物である。
1941年、中国湖北省に展開していた日本軍部隊がヒョウの子どもを捕獲。一躍、兵士たちのスターとなります。
『戦場の天使』pp.25-26より
突然現われたヒョウの仔の無垢な寝顔が、兵士たちの心に残っていたやさしさや純粋さを揺り動かしたのか、みんな子どもに返ったような顔をしている。
「かわいいのう!」
「うん、こいつは戦場のわしらの天使じゃ。」
ヒョウは、第8中隊の名をとってハチと名づけられ、兵士の心のささえとなりますが、日本軍が負けいくさに向かうなか、中隊にも転戦命令がくだります。
ハチは野生では生きていけない、と判断した成岡曹長は、動物園に送ろうとしますが、高知の柳原動物園、大阪の天王寺動物園が受け入れを拒否。しかし、1942年5月、上野動物園が「大いに歓迎します」と表明。ハチだけ日本に単身でわたり、八紘と名づけられたのでした。
1943年8月、成岡さんは休暇をとって戦地から帰国。しかし、上野動物園から受け取った電報は……。
・2008年8月24、25日、浜畑さんが高知市の潮江図書館と市内の書店で朗読とサイン会をおこないます(潮江図書館には八紘の剥製があります)
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浜畑賢吉さんのサイト
(2008年08月22日)