上野動物園では現在、スマトラトラとインドライオンに「ハズバンダリートレーニング」をおこなっています。むずかしそうな言葉ですが、「動物の健康な飼育と人間の安全な作業を目的として、動物に自発的な行動を取らせるための訓練」です。このトレーニングを通じて、トラやライオンが寝室と放飼場のあいだをスムーズに移動させたり、確実で安全な健康管理がおこなえるようにしたりするのが目的です。
・お知らせ「
トラとライオンの展示開始時間を9:30から9:45に変更します」(2017年7月27日)
トレーニングは「ターゲット棒」と「クリッカー」を使います。先端に目印をつけたターゲット棒は、動物の動きを誘導する先を指示し、クリッカーは指示どおりの行動が得られたときに音を鳴らす道具です。
たとえば、ターゲット棒を動物の前に差し出し、棒の先端に鼻先をつけたらクリッカーを鳴らし、馬肉を与える──これを繰り返すこと、動物は自発的にターゲット棒に鼻先をつけるようになります。この条件付けを利用して、トラやライオンを目的地点に誘導したり、特定の姿勢が維持できるように訓練したりします。
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室内でのスマトラトラ | 放飼場にて | 予備放飼場でのトレーニング |
トレーニングは毎日、寝室から出る前、そして寝室に戻ってきたときに実施しています。また日中、放飼場や非公開の予備放飼場でもおこなっています。
現在、動物たちにターゲット棒を認識させて鼻先をつけるよう訓練し、棒の誘導によって室内の通路を移動させることができるようになりました。
今後は、輸送箱やスクイーズケージ(治療の際に利用する檻)への誘導、定期的な体重測定や触診等の健康管理を目標に訓練を進めていきます。
トレーニングにともない展示時間が変更になりご迷惑をおかけしますが、ご理解くださいますようお願いいたします。
(2017年09月03日)