2013年7月4日は、上野動物園のニシローランドゴリラ「ムサシ」(オス)の33回目の誕生日でした。ムサシは1980年イギリスのブリストル動物園で生まれました。推定3歳のときにメスのシズカと共に釧路市動物園に移り、2000年10月6日に上野動物園にやって来ました。
上野動物園では前の年にビジュ(オス、12歳) が死亡したばかりで、当時の上野動物園に明るいニュースをもたらしてくれたムサシの来園でした。
2007年7月には脳梗塞を患いましたが、後遺症もほとんどないくらいに回復しました。
現在第二放飼場にピーコ(メス、43歳)と交替で出ていますが、なるべく無理のない生活を送れるよう、飼育担当者は心がけています。ムサシは好物の枝葉と野菜中心の食事メニューのおかげで、毛のつやもとてもきれいです。
誕生日当日、部屋に戻ってくるムサシに私たちはそっとサプライズを用意しました。まず、床面に味噌を使って「Musashi」と書きました。この味噌はオーストラリアではポピュラーな少し癖のあるもので、夏場は塩分とミネラル補給などのために、かならず毎日与えています。また、ふだんも食べているニンジンやヨーグルトのほか、特別にスイカとプチトマト、日替わりで登場するヒマワリの種で「33」を表してみました。
それを目にしたムサシは、動きを一旦止めましたが、少しするとご機嫌な声を出しながら食べ始めました。
ムサシにとって上野生活も間もなく13年になろうとしています。訪れた方々に存在感を示し続けるムサシは、優しい性格の個体で、ファンの方も少なくないと思います。1年後の誕生日は、みなさんとご一緒に祝おうと考えています。
写真:「ムサシ」33歳誕生日のサプライズ
〔上野動物園東園飼育展示係 北田祐二〕
(2013年07月12日)
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