上野動物園東園のラマバク舎で、「クールビズ」(?)を始めた動物がいます。ラマのオス「ヒカル」(14歳)です。夏に備えて毛刈りをしたため、体のボリュームが3分の1ほど減りました。
ラマは、もともとは標高が高くて涼しいアンデス地方に生息地する家畜なので、夏前に毛刈りをしないと、夏バテをする可能性があります。同じラマやヒツジを多く飼育している西園の子ども動物園では、ヒカルより一足先に、暑さに耐えられない動物たちの毛刈りをおこない、みなすっきり涼しげな顔をしています。
ヒカルの毛刈りは、子ども動物園からバリカンを借りておこないましたが、体が大きいのでバリカンだけでは間に合わず、手芸用の裁ちばさみや毛刈り用のハサミも使って刈りました。
家畜種のヒツジの毛は油が多くべたべたした感触がありますが、ラマの毛にはそこまで油分はなく、軽くふわふわしています。近縁種のアルパカの毛ほど上質ではないのですが、アンデス地方ではラマの毛が織物やロープに使われることもあるそうです。
ふだんのヒカルは、自分がラマバク舎の主であるかのように、放飼場の石の上に立って体を大きく見せたり、日中同居しているカピバラをいたずらに追いかけまわしたり、機嫌が悪いときは口からくさいつばをはいたり、とにかく我がもの顔で過ごしているのですが、人に押さえつけられたのがこたえたのか、毛刈り後半日は少しおとなしくしていました。よかったと思いつつ、いつも元気なヒカルなので、心配になってしまいました。しかし、翌日にはすっかりいつもどおりに放飼場を歩き回ったり、ごろごろと砂浴びをしたりしていたので、安心しました。ヒカルが少しでも涼しい夏を過ごせればよいと思います。
なお、ヒカルは9時30分〜10時45分の間、カピバラのペアと一緒に展示しています。
写真上:毛刈り前の「ヒカル」、(左)同居のカピバラ
写真中:毛刈り後
写真下:ごろごろ砂浴び
〔上野動物園東園飼育展示係 村上瑞穂〕
(2013年05月31日)
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