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ツキノワグマ、2頭が冬眠中
 └─2013/01/11

 上野動物園で冬眠を目指していたニホンツキノワグマのメス「ウタ」(1歳)は2012年12月18日、メスの「タロコ」(推定6歳)は2013年1月2日に、それぞれ冬眠しました。

 ウタは、目標体重を58キロに設定し餌を増やしましたが、54.8キロから増えなくなり、2012年12月初旬からはどんぐりなども残すようになったので、冬眠に入る体の準備ができたと判断し、12日からは逆に餌を徐々に減らしていって15日に絶食させました。前回は母親と一緒の冬眠でしたが、今年は1頭なので冬眠に入るか心配しました。しかし18日には1日の睡眠時間も、呼吸数も例年の記録と同程度になり、冬眠に入った現在は1日約22時間眠り、安定しています。

 ここまでは大体予定通りだったのですが、前回の記事でウタとクーが冬眠準備中とご紹介したことは少々違ってきました。

「ニホンツキノワグマ、今年も冬眠準備中」(2012年11月30日)

 通常の寝室で冬眠させる予定だったクーは、少し神経質なところがあり、なかなか寝ないで動きまわるため床材の乾草が汚れてきてしまいました。濡れて汚れた床材のままではクーの健康上よくないことですし、交換するために人が冬眠場所に入るのは危険です、これらの理由から12月28日にクーの冬眠を中止しました。 

 そしてクーに変わりタロコを冬眠させることにしました。タロコは冬眠に向け餌を増やしていたわけではなかったのですが、季節に合わせて自然に食欲も増し、体重が増加していました。そのため、12月31日に絶食を開始させたときの体重は86.7キロで、去年冬眠したときと同じ体重になっていました。

 タロコも、現在例年通り1日約22時間寝ています。今年からカメラを新しく設置し、2頭の冬眠を見比べられるようになりました。偶然かもしれませんが、2頭がほぼ同じ時間に動き始めたりすることも何度か確認していますので、今までとは少し違った冬眠展示になっていると思います。

 また、冬眠を中止したクーは、オスのソウと交代で放飼場に出ています。活動しているクマもぜひごらんください。

写真:(左上)ウタ(右上)タロコの冬眠中のようす

〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕

(2013年01月11日)



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