みなさんは病気を予防するための予防接種を受けたことがあると思いますが、上野動物園子ども動物園でも、最近予防接種を受けた動物がいます。それはハクビシンです。イヌのなかまにも共通するジステンパーなど、8種類の伝染病を予防する混合ワクチンを接種しました。
ハクビシンは食肉目ジャコウネコ科の動物で、インド、ネパールから東南アジアの暖かい地域に生息しています。木登りが得意で、木の上をすばやく歩き回る姿を子ども動物園でも見ることができます。
さてハクビシンの予防接種ですが、まずは捕獲しなければなりません。2012年12月10日、職員3人で試みました。食いしん坊な個体なので、餌を見せて木から地面に降りたところを網で捕まえる作戦でした。しかし、食欲よりも警戒心が勝ってしまい、その日は3頭中一番食いしん坊な個体1頭しか捕獲できず、すぐに作戦練り直しです。
放飼場にはヒーターマットが設置してあります。暖かい地域に生息するハクビシンは、冬の時期はよく3頭固まってマットの上で寝ています。そこで、スライド式の扉が付いた巣箱をヒーターマットの上に置き、その中で寝ている隙に入口を塞いで捕獲するという作戦をたて、12月10日の夕方に設置したところ、予想通り次の日の朝には巣箱の中で寝ていました。
巣箱で寝る習慣がついた12月17日、忍び足で放飼場に入って巣箱の扉を閉め、再度扉を開けてから網を使って捕獲し、残りの2頭も無事予防接種が完了しました。この作業には職員5名でのぞみました。
この捕獲大作戦の翌日、ハクビシンはいつも通り餌を求めて走り回る相変わらずの食いしん坊ぶりを見せていました。
写真上:ハクビシン
写真下:捕獲作業中
〔上野動物園子ども動物園係 山崎亜土〕
(2013年01月04日)
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