上野動物園のコビトカバが2年ぶりに出産しました。生まれたのは2011年6月22日早朝で、女の子でした。父ショウヘイと母エボニーのペアの8番目の子です。出産前はあれこれ心配しましたが、さすがベテランママ、子どもを上手にあつかっています。
コビトカバの出産はふつう陸上でおこなわれ、今回も陸上でした。子どもは生後すぐには泳げず、溺死する可能性もあるといわれています。しかし今回の子は、初日からプールに入りました。泳ぎというにはあまりにもぎこちなく、溺れているようにしか見えませんでしたが、それでもたしかに自ら水に入り、そしてエボニーが頭で浅瀬に押し上げてくれるまで必死に泳いでいました。今はもう、潜水も息継ぎのタイミングも上手になりました。
歯が生えたことも確認できました。口を開けているときによく目を凝らして見ると、小さな歯が4本のぞいています。ふだんはほとんど伏したまま休んでいることが多いのですが、プールに浸かっているときが観察のねらい目で、エボニーがプールから出るよう促しても、出たくないと大きく口を開いて抵抗します。生意気に思えますが、それもまたかわいらしさのひとつでしょうか、エボニー母さんも怒ったりしないようです。
子どもの名前も決まりました。代々その季節にちなんだ植物の名前を付けていて、今回は「ナツメ」と命名しました。初夏に小さな黄色い花をつける植物で、花言葉は「健康の果実」だそうです。コビトカバは丸っこいナツメの果実のような体型ですから、花言葉にあやかるなら「健康な果実」のように育ってくれたらなと思います。
コビトカバの子どもの成長は早く、どんどん大きくなってしまいます。ぜひお早めにごらんになり、そして、末永くナツメの成長を見守ってください。
・関連ニュース
「2年ぶり!コビトカバの赤ちゃん誕生」
〔上野動物園西園飼育展示係 飛田英一郎〕
(2011年07月15日)