上野動物園子ども動物園のふれあいコーナーでモルモットは人気者ですが、ふれあい時間以外は、「うさぎとモルモットのおうち」の小さなのぞき窓からしか見ることができませんでした。このたび「うさぎ広場」で、ウサギのほかにたくさんのモルモットの展示を始めました。
モルモットという動物は、南アメリカ全域の草原などで群れを作って生活しているテンジクネズミを家畜化した動物です。
温和で好奇心旺盛なモルモットは、私たちの心を癒すペットとして人気が高く、多くの動物園でふれあい動物として活躍しています。しかし、テンジクネズミが野生でくらすような草原をイメージした広い展示場で、たくさんのモルモットを飼育している動物園は、国内ではあまり見かけません。
じつは今回の試みは「そういえば、モルモットを屋根のない広場で飼育しているのをあまり見たことがないな」という発想から始まりました。
一番の問題点はカラスです。今まで安全な屋内で生活していたモルモットが、上空から襲ってくるカラスから身を守れるのかが心配でした。そこで、危険が迫ったらすぐに隠れられる場所をいくつか作りました。今では、隠れ家が居心地がよいのか、なかなか出てきてくれないこともしばしば……。
ふかふかのチップ(細かい木片)の小山や横たわった木のトンネルなど、モルモットたちの遊び場がたくさんある「うさぎ広場」で生き生きと活動したり、5羽のウサギたちと仲良く遊んだりしているほほえましい光景をぜひ見に来てください。そして、集団で生活しているのを見て、ほんの少しでも野生のテンジクネズミのくらしぶりを想像していただけると幸いです。
今後は、時間になったら自分たちで寝小屋に出入りするように訓練していく予定です。それから、広場の名前も「うさぎ広場」から「ウサモル広場」に変えなくてはいけませんね。
〔上野動物園子ども動物園係 川鍋政孝〕
(2011年07月15日)
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