現在上野動物園ではオス1頭、メス1頭合計2頭のハートマンヤマシマウマを飼育しています。 シマウマは奇蹄目に分類され、1本の脚にひとつの蹄(ひづめ)があります。つまり奇数の蹄をもつということです。
人間の爪と同様、シマウマの蹄も伸び続けます。野生のシマウマは広い場所を動き回るため、自然に蹄が削れるので当然切る必要はありません。また動物園でも、広い運動場で運動量が多ければ蹄が削れますが、残念ながら上野動物園には狭い運動場しかありません。
蹄が伸び続けると、変形したり不自然な歩き方になったり、脚を痛める原因になります。そこで定期的に削蹄(さくてい)をおこない、蹄の状態を整えています。今回はメスの「パンジー」に削蹄をおこないました。
削蹄するためには、まず全身麻酔をかけ、体を寝かせます。乗用馬や競走馬は人に慣れているので、立たせたまま1本だけ脚を上げさせて削蹄することができますが、野生動物ではそうはいきません。
以前は飼育係が削っていましたが、現在は専門家である馬の装蹄師(そうていし)の方に来てもらっています。馬だと削蹄の後に蹄鉄を打ち付けますが、シマウマではありません。
装蹄師の方が手際よく削蹄をおこなっている間、並行してシマウマの採血や健康チェックなど、麻酔していないとできないことをおこないます。歯を削ることもあります。そしてすべての作業が終わった後に体重測定をします。今回、パンジーの体重は373.5キログラムでした。
削蹄をおこなった直後は少し歩き方がぎこちなくなりますが、すぐに慣れて普通の歩き方になります。
写真上:削蹄のようす
写真中:削蹄前(右後肢)
写真下:削蹄後
〔上野動物園西園飼育展示係 井上智右〕
(2011年06月03日)
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