旧岩崎邸庭園(台東区池之端)を管理している東京都公園協会から、庭園の太い老木を処分するが動物園で使用できないか、との電話連絡を受けたのが半年前の春でした。
さすが歴史のある旧岩崎邸です。今回伐採される木々はどれも樹齢が高く、幹が太くて適度に湾曲しており、中には大きな洞があるものもありました。その老木の伐採に立ち会い、ほしい部分や切る長さなどをお伝えした上で、動物園まで運んでもらいました。動物園に運んだ木は加工して、クレーン車で各所に設置しました。東園のクマの丘、西園のレッサーパンダ舎、子ども動物園のマレーヤマアラシ舎に入っています。
子ども動物園のマレーヤマアラシ舎では、ヤマアラシの隠れ場所として利用するために、チェーンソーで洞を大きくし中に床暖房を設置しました。ヤマアラシ用に使ったのはスダジイで、江戸時代の文献に出てくる由緒ある老木でした。どれも決して人間の手で作り出すことのできないもので、大きく太い幹には圧倒的な迫力があります。
動物たちは新しいものに強く興味をもつもので、それぞれの場所でうれしそうに使っています。ぜひ、子ども動物園でごらんください。
※旧岩崎邸庭園(東京都公園協会)については
こちら
写真上:大きな洞のある老木
写真中:マレーヤマアラシの隠れ場所として利用
写真下:抱きついて遊ぶエゾヒグマ
〔上野動物園子ども動物園係 高藤彰〕
(2010年12月10日)