こちらのニュースでお知らせしたとおり、2009年12月24日から「オウサマペンギンの散歩」を再開しました。毎週木曜日、午後2時30分から約15分間おこないます。上野動物園東園のペンギン池近くからスタート。
以前から上野動物園では、運動不足解消のためにオウサマペンギンを園内で散歩させており、2000年から「ペンギンのお散歩」と題して開催すると、とても人気のある催し物の一つになりました。
2007年と2008年、ペンギンの繁殖を優先して散歩を中止したところ、「今年のお散歩はいつからですか?」「今年はお散歩やらないのですか?」といった問い合わせを多数いただきました。
この冬、3年ぶりにペンギンの散歩を再開したのですが、いきなり12月24日に園内を歩かせたわけではありません。この2年間の誕生と死亡にともない、メンバーの半数が散歩未経験なのです。以前経験した個体も忘れてしまっているかもしれません。
そこで、本番に向けて何回も園内を歩き、練習を重ねました。われわれ職員も、コース上での動きなどを確認しました。
練習を始めたのは、2009年10月26日(月)の休園日です。本番と同様、午後2時30分にペンギン池をスタート。全6羽がいっしょに外に出て、職員に囲まれましたが、いつもとちがう雰囲気にとまどい、首を思い切り伸ばしながらあたりを見まわしていました。
そんな中、1羽だけフラフラしていたのは、メスの「ウララ」です。初めての散歩に緊張したのか、他のペンギンたちから離れてしまいました。プチパニックです。そんなウララをなんとか誘導し、6羽が一団となって足早に歩き始めました──。歩くというより、駆け足に近かったかもしれません。
この日、散歩コース1周にかかった時間は……たったの7分。予定の15分の半分以下です。その後も休園日に練習を重ね、2009年12月10日と17日には、予行演習として開園時間中に散歩しました。ペンギンたちは回を重ねるごとに慣れ、かたまって歩いていたのが、おたがい適度に離れて歩くようになりました。
※2009年12月10日の散歩のようすは、東京ズーネットBBの動画「
上野動物園で『オウサマペンギンの散歩』、3年ぶりに再開です」をごらんください。
さて、練習を経て、12月24日の本番を迎えました。練習どおりに始められると思いきや、1羽が池から出てきません。その1羽とは、集団行動の輪を乱すのが得意なウララでした。職員がうしろから追って外に出そうとすると、池の中に逃げ込んでしまいました。こうなるとお手上げです。ウララのことはあきらめ、散歩は5羽でおこないました。
ペンギンたちは、いつもより多いギャラリーに少し緊張した面もちでしたが、練習どおり歩いてくれました。2か所の休憩ポイントでも予定どおり足を止め、その姿をみなさんに見ていただきました。所要時間は……ジャスト15分! 練習どおりです。ペンギンたちが無事池に戻り、また、再開した散歩を無事終えることができて、ホッとしたことはいうまでもありません。
オウサマペンギンのお散歩は、気温の低い時季限定。ペタペタと歩くペンギンたちを間近で見られる絶好の機会です。
〔上野動物園東園飼育展示係 齋藤圭史〕
(2010年01月08日)