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子ども動物園の教育プログラム、子どもたちの反応は?
 └─2009/12/17

 動物園にも冬の風が吹く季節になりました。子ども動物園では子どもたちに向けて教育プログラムを実施していますが、そのプログラムも、今年度(2009年度)はまもなく終わりをむかえます。

 この教育プログラムを、子ども動物園では(ちょっとカタい言葉ですが)「団体指導」と呼んでいます。対象は、幼稚園の4歳児から小学校2年生まで。

 コースは、使う動物の種類によって、ABCの3つにわかれています。Aコースは、ウサギ、モルモット、ヒヨコなどの小動物。Bコースは、ニワトリ、ガチョウ、ヤギ。Cコースは、ラマ、ミゼットホース、ヒツジです。それぞれ30人以下限定、時間は20分間。1日に3回実施できるようにしています。

 最初に10分ほどお話をします。目や耳、鼻や手などを使って動物を感じ、命の温もりを感じてください、と伝えています。

 最近、子どもたちにこんな質問をしています──「きのう、てるてるぼうずを作った人は?」。テレビやラジオで天気予報が頻繁に放送され、インターネットでも簡単に調べられるようになった現代。私が子どもだったころに比べ、天気に関する情報量は何百倍にもふくらんでいるでしょう。でも、そんな時代でも、ひょっとしたら、てるてるぼうずを作る子がいるかもしれない──そう思ったのです。質問を始めた当初は、絶滅危惧種のてるてるぼうずを探す気持ちでした。

 しかし、驚きの反応が返ってきました。多いクラスでは半分ほど、少なくても3~5人は必ず、てるてるぼうずを作ってきた子どもがいるのです。子ども動物園でのクラスを楽しみにしてくれている証拠です。毎回、とてもうれしさを感じる瞬間です。私たちにとっては毎日繰り返すプログラムですが、子どもたちにとっては特別な日なのです。

 そしてもう一つ質問をします──「きのう、ワクワクして眠れなかった人?」。これにもたくさんの子どもたちが手を挙げてくれます。当日の団体指導を最高の出来にしなければいけないと強く感じる瞬間です。

 子どもたちの反応には、別の驚きもあります。鼻を使って動物のにおいを嗅ぐときです。「動物はいやなにおいですか?」と聞くと、ほとんどの子が「はぁーい」と元気よく答えます。それでは困ってしまうので、「人間にもにおいがあるのですよ。友だちの家に行ったら、その家のにおいがするよね」などと問いかけ、いろいろな例を出して、説明を続けます。

 そして、最後に「お母さんのにおいは?」と聞くと「いいにおい」という答が返ってきますが、「お父さんのにおいは?」という問いには、「くさい」の答。これもほとんどの子が言うのです。お父さんである私は、そのたびにさびしい気持ちになるのでした。

 子ども動物園の団体指導は、次回は来年度、2010年4月から始まります 2010年3月いっぱいまでのクラスを受け付けています。また、「2010年4月~7月分」の受付は、2010年3月10日(水)から始まります。お電話でご相談ください(上野動物園 03-3828-5171[代]9:30-17:00、月休)。

〔上野動物園子ども動物園係長 高藤彰〕

(2009年12月18日)
(2010年02月12日修正)



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