ヘビやトカゲが含まれる「有鱗目」(ゆうりんもく)には、卵をそのまま産むのではなく、母親が胎内で孵化させて産む種がいくつも知られています。上野動物園の両生爬虫類館(ビバリウム)で飼育しているチュウゴクワニトカゲもそのうちのひとつです。
2009年9月1日、チュウゴクワニトカゲ(非公開の個体)のケージを掃除している際、1頭の幼体を発見して驚きました。このメスは、一時的にオスと同居させていたことがあったので、妊娠の可能性はあったものの、腹部のふくらみも認められなかったので、あまり期待していなかったのです。
通常、ワニトカゲは複数の幼体(最大で15頭程度)を産むのですが、今回は1頭だけでした。しかし、生まれた幼体は頭胴長65ミリ、全長 152ミリ、体重は6.42グラムで、これまで上野動物園で生まれたワニトカゲに比べると大きいサイズでした。
幼体の形は親とそっくりですが、頭部の前半部だけが、染め分けたようにベージュ色がかっています。このベージュ色は成長とともに徐々に黒っぽくなり、最終的に頭部全体が親と同じ色になります。成体になると、とくにオスの場合、あごから前足のつけ根あたりにかけて、赤く発色することが多いようです。
昨年(2008年)生まれのものも合わせると、上野動物園生まれのチュウゴクワニトカゲは9頭になりました。まだ、繁殖はできませんが、数年後には飼育下で繁殖した2代目のワニトカゲが見られるかもしれません。
写真上:このたび生まれた子ども。2009年9月10日撮影
写真中:2008年10月10日生まれの個体(上)と
今回生まれた子ども(下)
写真下:成体(親ではありません)(上)と
今回生まれた子ども(下)
〔上野動物園は虫類館飼育展示係 坂田修一〕
(2009年09月18日)
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