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シュモクドリの巣立ち
 └─2009/07/24

 前々回のニュースで、上野動物園でシュモクドリのひなが4羽孵化したことをお知らせしましたが、このたび4羽とも無事に巣立ちました。

 2009年7月15日、1羽が巣穴から顔を出していたので、いよいよ巣立ちかとしばらく観察を続けたのですが、結局その日は巣立ちませんでした。

 翌日も翌々日も巣穴から顔を出すだけで、いっこうに飛び立ちませんでしたが、外の世界には興味津々らしく、巣穴から身を乗り出す割合が毎日少しずつ大きくなってきました。また、ときには順番を待ちきれないかのように、2羽がいっぺんに巣穴から顔をのぞかせることもありました。

 そして7月19日の正午ごろ、ついに1羽のひなが巣立ちました。巣穴から身を乗り出していた1羽が、プールに吸い寄せられるかのように飛び降りたのです。しかも、降り立ったひなは、なんとドジョウを捕まえて食べたのです。

 巣にいたときは親鳥が運ぶえさを食べていたので、えさの採り方は教わっていないはずです。巣穴から顔を出しているときに、親の行動を見ておぼえたのでしょうか……? いえ、おそらく学習したのではなく、動くものに反応して採餌行動が引き出されたのだと思います。それにしても、みごとでした。

 その後も別のひなが顔をのぞかせていましたが、巣立ちが見られたのは3日後の7月22日でした。朝から雨が降る悪天候でしたが、朝、すでに2羽が巣立っていたのです。翌23日は最後の1羽が巣立ちました。

 巣立ったひなは、一見親鳥との区別がつきません。しかし、目に注目すると一目瞭然です。幼鳥の虹彩は黄色ですが、成鳥の虹彩は茶色だからです。

 ひなの体格は親とちがわぬほど立派ですが、なにしろまだ巣立ったばかり。飛翔もぎこちなく、止まり木に止まると前後にぐらついています。しかし、最初の1羽同様、えさの採り方はみなすっかり一人前です。

 夕方になると、ひなたちは巣に戻って休みます。日中も巣に入っていることがあるので、ご来園の際に4羽すべてを見ることはできないかもしれませんが、にぎやかになったシュモクドリ舎にどうぞ足をお運びください。

写真上:シュモクドリ幼鳥
写真下:シュモクドリ成鳥

・東京ズーネットBBの動画「シュモクドリ
(2008年09月撮影)

〔上野動物園東園飼育展示係 永野知〕

(2009年07月24日)



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