日々寒さがきびしくなるこの頃、枯葉がつぎつぎと舞い降り、上野動物園は落ち葉に埋もれそうです。子ども動物園のヤギやヒツジたちは、朝寝小屋から出てくると、用意された青草や乾草には目もくれず、風で落ちた枯葉を食べに広場に散って行きます。
園内で掃除をする人たちは大変です。枯葉を掃きながら、ふと後ろを見ると、掃いたはずのところが、もう落ち葉でいっぱい……。それでも修行僧のように黙々と竹ぼうきを動かしています。そのとなりには、枯葉がいっぱい入った大きなビニール袋がいくつも置いてあります。
そのあり余る落ち葉を有効利用するために、子ども動物園では「落ち葉のプール」を作りました。270×180×深さ45センチでやや小さめです。多摩動物公園の落ち葉のプールで子どもたちが楽しそうに遊んでいるのを見て、上野動物園の子ども動物園でもぜひ作ってみたかったのです。
あらかじめきれいな落ち葉を集め、プールの外側が完成するころ、その量は120 リットルの袋30個にもなりました。プールに入れると、落ち葉は山のようになりました。
“プール開き”の日は、子どもたちがさっそく遊んでくれました。うれしそうな子どもたちの横で、お母さんが少し渋い顔で見守っています。子どもたちが夢中になるあまり、他の動物を見る時間がなくなるのではないかと心配されているようです。
お母さんにとって、子どもの服や靴の中に落ち葉が入ってしまうことも心配です。しかし、子どもたちは大はしゃぎ。山のようにあった枯葉は踏みつぶされるにつれ、下の方にわずかにしか見えなくなってしまいました。その後は毎日、落ち葉の追加に追われています。
寒い毎日だからこそ、子ども動物園ではヤギもヒツジもモルモットとじっくり触れあうことができます。落ち葉のプールも独り占めできるかもしれません。あたたかい格好でおいでください。待っています!
〔上野動物園子ども動物園係長 高藤彰〕
(2008年12月05日)
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