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ヒゲマダライナゴの季節展示
 └─2015/07/31

 多摩動物公園の昆虫生態園バッタ展示エリアでは、今春孵化したヒゲマダライナゴを2015年7月から展示しています。ヒゲマダライナゴは、日本国内では宮古島以南に生息している淡黄色のイナゴです。


ヒゲマダライナゴ成虫

 触角は黒褐色をしていますが、各節の末端が黄色をしていて「まだら」に見えます。これが名前の由来でもあります。体長はオスが4センチ、メスは6センチほどで、トノサマバッタなみの大きさです。


ヒゲマダライナゴの幼虫はライトグリーンの色彩を帯びることもある

 体のわりに警戒心が強く、人の気配を察するといっせいに葉裏に回り込んで隠れます。幼虫は口のあたりが黒く、愛嬌のある顔をしています。幼虫はライトグリーンの美しい色彩になる個体もいます。成虫になると胸部背面に特徴的な3本の線が現れ、残念ながら体色は次第に黄色を帯び、色あせていきます。

 食草はイネ科の植物で、ススキやサトウキビなど、硬めで乾いた葉を好みます。生息地ではたびたび大発生し、サトウキビ畑を丸坊主にする被害が出ています。

 動物園で飼育している他の種類のバッタはイネ科以外の植物だけでなく、果物など、意外にさまざまな種類のものを食べます。変わったところでは、ニンジンやマウス用ペレットを与えると、たいていどの種類のバッタも群がって食べます。ところがヒゲマダライナゴは見向きもしません。食べるえさの種類が非常にかぎられているのです。

 動物園では園内のススキを採って与えています。ススキさえあれば丈夫に育ちます。冬にはススキが枯れてなくなりますが……心配無用です。ヒゲマダライナゴは年1化(1年に1回発生)なので、ススキが枯れる頃は卵で越冬するのです。

 季節限定の展示なので、成虫が寿命に達すると終了です。おいしそうにススキを食べる姿や体の色彩の変化をお見逃しなく。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 若井直美〕

(2015年07月31日)


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