チンパンジーは暑いアフリカに住む動物ですが、多摩のチンパンジーの多くは日本生まれ。真っ黒な体、多くの体毛を持つチンパにとって、日本の夏はきっとヒトよりはるかに暑い季節でしょう。連日の猛暑の中、子どもからおとなまで、全身から汗を流し、キラキラと光っています。
またこの季節がやってきてしまった……。じつは毎年夏になると、夏バテなのでしょうか、チコ(メス、15歳)の食欲が落ち、ミミー(メス、推定52歳)の元気がなくなるのです。
放飼場から部屋に帰ってくると、いつもの食欲はどこへやら、みんな食べるペースがおそい! サザエ(メス、推定26歳)やベロ(メス、38歳)はダウン寸前……。
この状況を何とかしてやりたいと担当者一同悩んでいました。ふと頭によぎったのが、夏になると私の実家で飲んでいるアレ。これだ! 疲れを取るには梅酢! これをぜひ飲ませてあげよう──。
そこで2008年6月の初めに梅をつけました。材料は、梅、氷砂糖、酢ですが、全頭のための一夏分はかなりの量です。梅酢はクエン酸など有機酸の働きによって唾液の分泌を促進し、食欲を増進させるといわれています。また、ミネラルも豊富に含まれるため、まさに最高の夏バテ対策!!
2か月ほどでつかったので、うすめて与えてみたところまずまずの飲みっぷり! 肝心の効果についてはまだわかりませんが、彼らが元気でくらせるよう、何かしてあげられないかなという思いはいつも頭から離れません。
梅酢は冗談抜きでオススメです。みなさんも試してみてはいかがでしょうか?チンパ流で夏を乗り切りましょう。冷房にたよるより、健康的な梅酢とともに!ただ……、梅は季節ものですから来年から!!
写真上:ぐったりしたようすのピーチ
写真中:梅酢
写真下:梅酢を与える
〔多摩動物公園北園飼育展示係 木岡真一〕
(2008年08月08日)
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