多摩動物公園昆虫生態園の観覧通路では、チョウの幼虫と蛹を3種展示しています。その1種が、国内最大級のチョウであるオオゴマダラ。派手な色彩の幼虫と、金色に輝く蛹が来園者の目を引きつけます。
このたび、その蛹の展示に一工夫をほどこしました。これまで、ウレタン製の円柱ポールを立て、そこに造花ならぬ「造葉」を挿し、葉裏で蛹化させる方式でしたが、これは羽化にいたるまでのさまざまな状態にある蛹を立体的にお見せできる、すぐれた展示方法でした。
しかし、ポールが垂直に立つため、葉が上下に重なるところでは、上の葉にいる幼虫の排泄物によって、下の葉の表面が黒く汚されてしまいます。蛹がついているあいだは、汚れた葉を洗うこともできず、羽化するまで放置するしかありませんでした。
そこで、園内に植えてある枝ぶりのよいシイの木を切ってきて、広がる枝の中から、葉が上下重複しないような場所を選んで穴をあけ、そこに葉を挿すことにしました。しばらく使ってみたところ、汚れが今までのものよりかなり少なく、掃除の手間もさほどかからなくなりました。
それに、天然木を使用したおかげで「盆栽風」に仕上がり、落ちついた雰囲気の展示になった気がします。昆虫園にお越しの際、どうぞごらんください。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係〕
(2008年07月11日)
|