6月は梅雨の時期とはいえ、晴れた日は暑いですね。多摩動物公園のトナカイたちは、4月の末頃から始まった換毛も落ち着き、現在ではほとんどの個体が夏毛に生え変わりました。トナカイも夏に向けて着々と準備をしています。
しかし……多摩動物公園のトナカイの夏毛は黒いんです。しかも……多摩動物公園の運動場は日あたりがとてもいいんです。──ということは、トナカイたちは夏の太陽を真っ黒な毛でたくさん吸収してしまうのです……。この黒い夏毛は、生息地では保護色となってとても便利なのですが、ここでは逆効果です。しかも私たち人間とちがって汗をかけません。もともと寒い地域にいるトナカイは、吹雪や極寒の環境には強い体をもっています。しかし、暑さには弱く、夏場に体調をくずすことが多いでのす。
そこで、多摩動物公園のトナカイ舎の夏バテ防止策をご紹介します。
◎まずは、「スプリンクラー」。トナカイは水がかかるのがきらいらしく、直接水を浴びるようなことはしませんが、スプリンクラーは地面の温度を下げ、裏山から吹きおろす涼風が暑さを和らげてくれます。今はまだ使っていませんが、梅雨が明けると大活躍します。
◎今年の5月末~6月頭にかけて、雨よけ兼日よけを作りました。日中に餌をやるときは、この日よけの下に置いています。青草を食べるとき、夏の太陽を直接浴びるよりは涼しくなりました。雨の続く梅雨の時期は、青草も濡れませんし、トナカイ自身も濡れずに餌を食べることができます。
◎そして木陰。トナカイ舎の上を見ると木がうっそうと繁っているところがありますが、これも貴重な暑さ対策です。木はあまり切らないようにして、できるだけ木陰ができるようにしています。トナカイたちも木陰に座っているすがたが多く見られます。
◎いよいよ猛暑だ!これはマズイ……となると扇風機も出てきます。これは寝小屋で使用するので来園者のみなさんには見られませんが……。
ほかにも、メスの「ナタネ」は、暑いときは水のみに前脚を入れて暑さをしのいでいます。みなさんも夏バテ対策をしっかりして、動物園に遊びにきてください!
〔多摩動物公園南園飼育展示係 田辺麻里絵〕
・2008年5月23日、ニュース「
イメージとちがう、トナカイのすがた!?」
(2008年06月27日)