昨年(2007年)10月、多摩動物公園の昆虫園飼育展示係は沖縄県石垣島に採集調査に行きました。飼育個体や展示個体を採集するためです。その結果、多くの昆虫とともに、キノボリトカゲが昆虫園にデビューしました。キノボリトカゲはその名のとおり、木の上で生活するトカゲです。
現在、5匹を展示中。キノボリトカゲのオスはなわばり意識が強く、おもしろい行動を見せてくれます。それは、なわばりを主張するときの「腕立て伏せ」です。オスは自分のなわばりに入った他の個体に対し、追いかけるようにして撃退するのですが、相手を追い払った後、勝ったオスは前脚をピョコピョコと屈伸させ、腕立て伏せをするかのような、誇らしげな行動をとるのです。
一方、負けたオスは逃げ出した後、うすい緑色だった体色をカメレオンのようにすばやく茶色に変え、かげになったところに隠れて難を逃れます。
そんなキノボリトカゲですが、ふだんはとってものんびりししています。水浴びが好きで、飼育係が霧吹きで水をかけてやると、目を閉じて気持ちよさそうにしていたり、展示ケースの網蓋にぶらさがって昼間から寝ていたりしています。
昆虫ではありませんが、昆虫園の一員として活躍してくれているキノボリトカゲたち。とってもおもしろい動きも見せてくれるこのニューフェイスを多摩動物公園にぜひ見に来てください。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 牧村さよ子〕
(2008年01月18日)
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