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ちょっと記録更新、アカカンガルーのシェル
 └─2007/11/23

 多摩動物公園のカンガルー園には、現在21頭のアカカンガルーが生活しています。その半数近い11頭がこの2年間で生まれた子どもなので、大きい個体がカンガルー、小さい個体がワラビーと勘違いされることも少なくありません。

 大人の中でもひときわ大きいのが、オスの「シェル」です。彼は現在、10歳4か月。21頭中、最高齢です。今月に入り、2005年10月に死亡した「イチロー」の長寿記録10歳3か月を超えました。といっても、これはオスの長寿記録で、メスでは2004年4月に死亡した「キャラ」による10歳5か月という記録が残っています。図鑑などによると、アカカンガルーの寿命は10~15歳とのことなので、すでに高齢といえる年齢に達しているようです。

 イチローとキャラは、カンガルー園が開園した1996年に来園した個体で、他の動物園生まれです。シェルは1997年5月に来園した「パピヨン」のおなかの袋に入ってやってきました。イチローは初代の種オスとして、シェルは異なる血統の種オスとして、カンガルー園の繁殖に寄与してきました。

 来園以来9年間、病気知らずのシェルでしたが、昨年(2006年)夏の猛暑で初めて体調をくずし、1週間ほど群れから離れ、ゆっくりと静養しました。幸いなことに、群れに戻すときに問題は生じませんでした。

 しかしシェルは、今年の夏も体調をくずし、やはり約1週間、群れから離れて静養生活を送りました。今年は年齢による衰えなのでしょうか、群れへの復帰直後、若手の「レオ」との“ボクシング”の最中、首投げのワザによって仰向けに倒されてしまいました。以来、すっかり“ご隠居”になってしまったシェル。えさを食べるとき以外、放飼場の中段でのんびりと横になってすごす姿がよく見られるようになりました。とくに寒くなってからは、朝、動物舎の扉を開けてもなかなか起き上がらず、揺すって立たせ、おしりを押してやって、なんとか放飼場に出してやる日々が続いていました。

 現在シェルは、口腔内の病気の治療のため、動物病院に入院中です。まもなく退院の予定ですが、ますます寒くなるこれから、屋外よりも、空調のきいた快適な動物病院にいる方が、“ご隠居”にとっては幸せかもしれないですね。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 浅見準一〕

(2007年11月23日)



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