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チンパンジーのための新メニュー
 └─2007/05/28

 食べることに楽しみを感じるのは、人間だけではありません。系統的にもっとも近いチンパンジーも、食事に楽しみを感じているいるはずです。そこで多摩動物公園では、チンパンジーのふだんの餌メニューに変化をつけるよう、日々くふうを重ねています。

 まず、ふだんのメニューへのアクセントとしてすでに定番となっているのが、旬のくだもの(スイカ、ブドウ、イチゴ、パイナップル、キンカン)や、野菜(キュウリ、トマト、タマネギ、長ネギ)です。これらは、四季の味覚として、食事に彩りを添え、変化を提供してくれます。

 先日、試行期間を経て、あたらしい一品がチンパンジーの食卓に加わりました。それは「ゴボウ」です。ゴボウは繊維が多く、低カロリーなので、体にやさしいはず、と考えたのです。ただし、ゴボウを食べる民族は、世界広しといえども、日本人だけのようです。はたしてチンパンジーが食べてくれるかどうか、すこし不安もありました。

 ところが、こちらの心配をよそに、チンパンジーたちは、ゴボウをしっかり気に入ってくれました。チンパンジーがゴボウを食べ始めると、室内には歯切れのよい音が響き、あたりは「ゴボウ臭」につつまれます。ゴボウは薬草としても使われるほど価値のある植物です。鋭い野生の感覚をそなえたチンパンジーは、そのことが体でわかっているのかもしれませんね。

 今後も、チンパンジーに食べる楽しみを提供するため、栄養バランスを念頭におきながら、あらたな一品を求めて、餌メニューの開拓をつづけていくつもりです。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 島原直樹〕

(2007年5月28日)



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