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昆虫生態園のモクセンナの木
 └─2007/05/11

 昆虫生態園の温室にはさまざまな植物が植えられており、それぞれに役割があります。温室内の雰囲気を演出するための「背景植物」、チョウの成虫の餌となる「蜜源植物」、それにチョウの幼虫が食べる「食草・食樹」などです。

 温室の出口の近くにモクセンナという高さ3~4メートルのマメ科の植物が植えられています。葉がアカシアに似て、黄色い花が咲きます。ところが、ほかの木は剪定されてきれいな状態なのに、この木は食われてボロボロのまま。

 温室の植物の世話をしてくれる園芸屋さんから見れば、モクセンナは害虫に食われてしまっているわけですが、チョウの飼育係には大変ありがたい木なのです。

 じつはモクセンナは、タイワンキチョウの食樹なのです。タイワンキチョウは、翅の黄色い、モンシロチョウくらいの大きさのチョウです。葉が食べられて見かけは悪いのですが、モクセンナの剪定は、もうしばらく待ってもらう予定です。

写真上:食われてボロボロのモクセンナの木。クリックすると大きな画像が表示されます。拡大画像内にある四つの丸い囲みは、左から、幼虫、蛹、蛹、幼虫。
写真下:タイワンキチョウの成虫。その幼虫がモクセンナを食べる

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 細井文雄〕

(2007年5月11日)



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