多摩動物公園では現在、オス2頭、メス4頭のマレーバクを飼育しています。年齢は一番若い「リン」(メス)で3歳、最年長はリンのおばあちゃんにあたる「リザ」と、「ダイフク」(オス)で27歳になります。 マレーバクは野生では24歳まで生きることは稀なようですが、飼育下での寿命は約25~30年と言われています。27歳のリザとダイフクは高齢と言えるでしょう。
リザは体調管理のため昨秋から非公開のバックヤードですごしており、来園者のみなさまにその姿をお見せすることができません。今回はリザのようすと、飼育係がおこなっているリザへのケアをお伝えします。

青草を食べるリザ
多摩動物公園では、マレーバクに根菜類、枝葉、乾草、青草、草食獣用ペレット、ヘイキューブなどを個体に合わせて内容や量を調整し与えています。しかし、昨年の夏ごろからリザの採食量が安定しなくなりました。体重が減り体力も落ちてしまったので、活動時間も減少しています。食べる意欲はあるのですが偏食が強くなってしまったため、リザが積極的に食べてくれるように、給餌方法にさまざまなくふうを凝らしました。
よく残すようになったペレットは、硬さが原因で噛みにくいのかもしれないと考え、水やマンゴージュースやバナナスムージー、豆乳などさまざまなものでふやかして給餌してみました。すると、リンゴジュースでふやかしたものは食べたので、しばらくはペレットをリンゴジュースでふやかして与えることにしました。
そのほかにも、それまで食べていたサツマイモやニンジンも残すようになったので、切り方を薄切りに変え、それでも食べないニンジンはふかして与えました。
しかし11月ごろにはペレットの食いがまたもや安定しなくなり、試行錯誤するなかで、ペレットとふすまやおから、煮イモを混ぜたものは食べてくれるようになりました。現在リザが進んで食べてくれているのが、煮イモとふやかしたペレットを混ぜお団子状にし、これを食パンで包んだものです。ヤマモモ、マテバシイなどの枝葉も好んで食べるため、園内に生えているものを採ってきて、リザのそのときの好みに合わせて給餌しています。

煮イモとペレット団子の食パン包み
体調を崩し体力も落ちたままでは、食欲自体がなくなりさらに体重も減るという命に関わる悪循環に陥ってしまう可能性もあります。まずは好みのものを混ぜたりしながら食べるものをたくさん与え、とにかく給餌量を増加させることを第一に考えました。
すると少しずつリザの食欲が回復し、しばらく口にしなかった乾草を食べるようになりました。体調が悪くなる前に好んでいた細かく切ったものの方が食べやすいようで、他のえさについても少しずつ、以前のように食べられるようになってきました。
えさのくふうだけでなく、体調不良の原因を知るために血液検査や尿検査、糞便検査を継続しておこなっています。食欲不振の確定的な原因の特定には至っていませんが、検査結果をもとに薬やビタミン剤などを投与しています。その甲斐あってか、落ちてしまった体重も採食量の増加とともに上がってきました。
これからもQOL(生活の質)に配慮したケアを続け、しっかりとリザに向き合っていこうと思います。
〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 鈴木〕
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