多摩動物公園昆虫園本館で飼育しているオキナワナナフシは、動物園内に生えている植物を餌にしていますが、ナナフシがたべる植物の種類は決まっています。
春から秋にかけては園内に豊富にあるコナラ、カエデ、サクラ、キイチゴなどを餌に使っています。これらの植物は冬になると落葉してしまうため、冬は常緑の植物の中から餌になる植物を選ぶことになり、毎年シラカシやミカンなどを使います。しかし、夏場の餌植物ほど豊富にはないので、なるべくむだが出ないよう分量を考えながら与えています。
冬に使う常緑の植物は、葉が厚くて硬い種類が多く孵化したばかりのオキナワナナフシの幼虫は硬くて食べることができません。そこでクサイチゴの葉を与えています。クサイチゴはその名のとおりイチゴのなかまで、冬でも緑色のやわらかい葉をつけています。シラカシなどの樹木と違って草丈が低く雪が降ると埋もれてしまうので、雪の予報のときは前もって多めにクサイチゴを採る必要がありました。
5月の新緑を見て季節の移り変わりを感じるとともに、おいしそうな葉だなあ(もちろんナナフシ的に)と感じ、冬の餌の確保に手間がかかったことを思い出すのです。
写真:冬に重宝したクサイチゴの葉
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 石島明美〕
(2014年05月16日)
|