多摩動物公園モルモット舎では、モルモットとカイウサギを飼育しています。
室内では金網ケージの部屋で生活しているので、爪がよく伸びます。ふれあいを実施中に来園者が怪我をしないように、また動物自身も爪を引っ掛けて怪我をしないように、全頭とも定期的に爪を切っています。「爪切り」はペット用のものを使い、2〜3か月に1回を目安におこなっています。
80数頭のモルモットの爪切りを基本的には担当者1名でおこなっています。
モルモットは前肢4本、後肢3本の指に細く鋭い爪があります。爪は血管の手前まで切ります。透明の爪をもつ個体はやりやすいのですが、毛色によっては黒い爪をもつ個体もいるので、この場合は血管の位置が分かりにくく大変です。モルモットの爪を数多く切っていると経験で分かるようになってきます。この個体は爪が伸びるのが遅いから短めに切る、この個体はよく伸びるから少し長めに、というように個体に合わせてようすを見ながら切っていくことも重要です。
当のモルモットはこの爪切りが大嫌いです。「キュイー、キュイー」と大声で鳴く個体、「シューシュー」と歯軋りをする個体、爪切りをしている担当者の指を噛む個体と、さまざまに不満をぶつけてきます。
骨がもろいカイウサギの爪切りは、安全のため職員2名でおこないます。以前の記事で紹介した茶色の「オカカ」と黒色の「コンブ」の2頭も爪切りが嫌いです。とくにオカカは抱っこが嫌いで、爪切りの最中もどうにか逃れようと頑張ります。コンブは爪切りの最中、体勢が疲れない限りは大人しくしていますが、初めに持ち上げるときに「ブーッ」と不満の声を出します。
無事に爪切りが終われば、何もなかったかのように餌を食べ始めるモルモットと、しばらくはいじけて隅にうずくまってしまうカイウサギの反応の違いも面白いところです。
来園者のみなさんにふれあっていただくため、爪切りも重要な飼育管理のひとつです。
写真上:モルモットの爪切り
写真中:切るときに注意が必要な黒い爪
写真下:カイウサギ「コンブ」の爪切り
〔多摩動物公園教育普及係 林亜紀〕
(2014年04月04日)
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