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スイギュウ「ハルナ」と竹ぼうき
 └─2013/10/25

 多摩動物公園では、2頭のスイギュウを飼育していました。オスの「アカギ」(26歳)とメスの「ハルナ」(23歳)です。しかし以前の記事でもお伝えしましたが、2013年8月7日にオスのアカギが死亡しました。

「スイギュウ『アカギ』が死亡しました」(2013年08月08日)

 この2頭は非常に仲がよく、一緒にプールに入る姿に癒された方も多いと思います。

 アカギが死んだ次の日の朝、ハルナはふだんとは違い、寝室内をぐるぐると動きまわって落ち着かないようすでした。放飼場への扉を開けると、勢いよく飛び出し、周りをせわしなく眺め、一通り見まわすと出舎時の勢いは嘘のようにおとなしくなり餌場へと向かいます。

 こんなふうに何とも悲しげな光景が2日ほど続きましたが、アカギがいないことがわかったのか、3日目からはいつも通りのハルナに戻りました。しばらくは餌も食べなくなるのではと心配していましたが、幸い食欲は落ちることもなく、毎日元気にくらしています。

 ところで、スイギュウ放飼場の柵がところどころ錆びているのをご存知でしょうか? これは、スイギュウが頭、とくに耳の後ろや角の脇などを柵にこすりつけるため塗装が剥げて錆びてしまうのです。そこで放飼場に頭掻き用のほうきをつけてみました。

 初めは、竹ぼうきを1本、餌を置く柵に固定してみました。「好きなだけ掻いてくれ」と眺めているとさっそく使い始めたのですが、400〜500キロのスイギュウが思いっきり体重をかけるので、竹ぼうきはミシミシと音を立ててあっという間に折れてしまいます。添え木をしたり、折れやすい部分をひっこめたりとくふうするのですが、その日の内に折られるということが続きました。

 そこで、「三本の矢」ではありませんが、複数本のほうきを束ねてみたところ1週間経ってもびくともしません。同様にプール横の柵にも設置すると、こちらも喜んで使っています。

 折れなくなったのはよいのですが、ハルナが使用するたびにほうきの毛が少しずつ抜け、どんどん短くなるという新たな問題が発生しました。しかし、夕方になって、その日ハルナがほうきを使用したかどうかの目印にもなるため、掃除が大変になりますが、飼育係にとって毎日の楽しみにもなっています。

 秋も深まり、プールに入る時間も減ってきました。陸で過ごすことが多くなり、その分気持ちよさそうに頭を掻く姿、そして短くなっていくほうきがよく見られることになるでしょう。

写真上:アカギ(左)とハルナ(右)
写真下:ほうきで頭を掻くハルナ

〔多摩動物公園南園飼育展示係 高岡英正〕

(2013年10月25日)



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