多摩動物公園では、冬になると園内の水鳥池などにカモたちが渡ってきます。昔は多摩の冬のカモといえばマガモがほとんどだったのですが、園内の池周辺が改修されて明るくなると、うっそうとしたところを好むマガモが減り、開けたところにやってくるオナガガモの数が増え、最近では、マガモもオナガガモも同じくらい渡ってきていました。ところが昨年あたりから、カモの飛来数全体が減ってきています。
多摩動物公園では、毎月15日に園内の野鳥をカウントしています。2011年1月のカウント数はマガモ162羽、オナガガモ145羽だったのが、2012年1月にはマガモ69羽、オナガガモ62羽となり、2013年1月はマガモ34羽、オナガガモ56羽です。
以前は、飼育しているよりはるかに多い数のカモが集まって、餌を食べていましたが、今年はさらに数が減り寂しい状態です。渡り鳥が食べてもいいように餌を追加していたのを、鳥インフルエンザ予防のためなどでやめましたが、それだけが減少の原因ではないと思っています。しかし、明らかな原因がわかっていないので、このままでは来年、ほとんど渡って来なくなるのでは、と思わせる減り方です。みなさんのお住まいの近くの池や川はどんなようすでしょうか?
そのような少し寂しくなった水鳥池に、2012年12月16日、珍しいカモが1日だけ立ち寄りました。それはトモエガモです。しかも、トモエガモの特徴である独特な顔の模様をしたオスが1羽飛来しました。当日は、園内で初心者向けの野鳥観察会をおこなっていたのですが、この珍客に参加者も感嘆の声を上げていました。残念ながらトモエガモは1日だけの飛来で、翌日には姿を消してしまいましたが、カモの渡りが少なかったところに、ちょっと花を添えるようなトモエガモの飛来でした。
写真上:今年の水鳥池
写真中:1羽で飛来したトモエガモ
写真下:水鳥でにぎわっていたかつての水鳥池
〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕
(2013年01月25日)
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