ニュース
イヌワシ「越後」の獲物は何?
 └─2012/10/19

 多摩動物公園アジア園に保護ケージという施設があり、ここでは繁殖計画からリタイアしたニホンイヌワシとチョウゲンボウを飼育展示していますが、ちょっと面白いことがありましたのでお知らせします。

 保護ケージにいるニホンイヌワシのオス「越後」は、これまでメス「紫」との間で5回繁殖に成功しましたが、メス紫の死後は、保護ケージ内で余生を送っています。ふだんは止まり木に止まっていることが多く、たまに地面に降りて落ちている枝で遊んだりしています。

 2012年10月のある日の午後、餌をやりにケージに入ると、コンクリートの壁に沿って地面が掘られていました。ケージの隙間からネズミが入って地面を掘ったのだと思ったのですが、越後が地面に降りてその掘られたところに向いています。
 野生のイヌワシは、ノウサギなどを獲物としています。越後のようすは、久しぶりに動くものを見つけ捕まえようとしているように見えました。餌を与えると、食べには来たもののしばらくするとまた、地面に降りて、掘られたところを気にしているようでした。

 翌日の朝も越後はまだ地面に降りていましたが、午後餌やりに行くと、いつものように止まり木に止まっています。もしや獲物を捕まえたのでは、と思い急いでケージに入ると、ネズミだと思っていた獲物はなんと「モグラ」でした。モグラの背中には小さな穴が開いていてすでに死んでいましたが、食べた形跡はありません。捕まえて満足したのか、越後はモグラには見向きもせず、与えた餌を食べています。モグラは越後の口には合わなかったのでしょうか?

 その後、死体をモグラの飼育担当者に見てもらったところ、りっぱなアズマモグラで、できれば生け捕りにしてほしかったそうですが、イヌワシの越後に、それは無理な相談だなと思いました。

写真上:イヌワシのオス「越後」
写真下:越後にやられた?モグラ

〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕

(2012年10月19日)



ページトップへ