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ムクドリの網越しの恋
 └─2012/05/18

 多摩動物公園のノウサギ舎では、ムクドリ(性別不明)を1羽飼育しています。このムクドリは、2007年に翼を負傷して動物園で保護されましたが、飛ぶことができず野生に戻すことができなくなりました。

 最近、そのムクドリの展示場前に、毎日のように1羽の野生のムクドリがやってきます。どうやら、展示のムクドリに恋をしているようです。開園前と閉園後は展示場前の園路に降り、展示のムクドリを見つめるように立っています。開園時間中は、ノウサギ舎の屋根の上や近くの木に止まり、見守っているのです。枝などの巣材を探し、くわえて運ぶ姿も確認されました。

 展示中のムクドリも網のそばギリギリにいることが多く、2羽はペアになっているのかもしれません。

 しかし、「網越しの恋」を叶えてあげることはできず、日々申し訳ない気持ちでいっぱいです。それでも、熱心に会いに来る野生のムクドリの姿は健気に見えます。ノウサギ舎の近くを通る際は、頑張るムクドリをぜひ探してみてください。

 ムクドリの繁殖期は春から夏で、今ごろが盛んな時期です。多摩動物公園内では、野生のムクドリが多く飛び交い、巣材や餌を運ぶ姿が頻繁に見られます。動物園の動物はもちろんですが、四季折々の園内の野鳥たちにも、ぜひ注目してみてください。

写真上:展示ムクドリに渡す巣材を探す野生のムクドリ
写真下:網のそばギリギリにいる展示のムクドリ                              

〔多摩動物公園南園飼育展示係 宇野なつみ〕

(2012年05月18日)



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