たくさんの木が生い茂った放飼場、木々の間をチンパンジーたちが駆け回ります。その光景はまるで森の中にいるようです。
先日、多摩動物公園では園内でカシの木を剪定したため、たくさんの枝がチンパンジー舎に届きました。
ただ食べるためだけに使っていたのではとても使いきれる量ではなく、このまま枯れさせてはもったいないということで、放飼場に枝を取り付けることにしました。枝は重く、想像以上にたくさんあり、なかなかの重労働でしたが、チンパンジーに喜んでもらうため、次から次へと運びいれました。
とくに、チンパンジー舎の裏側にある非公開の放飼場には、天井と壁の格子をうまく利用して高い位置にも枝を取り付け、1時間ほどかけて、ついに小さな森を完成させました。自分たちで見ても圧倒されるその出来栄えに、次の日チンパンジーに利用してもらうのが楽しみで、わくわくと胸が高まりました。
翌日、いよいよチンパンジーを放飼場に出す時間になりました。初めて見る光景にびっくりしてしまうのではないか、怖がって外に出ないのではないかと少し心配もしましたが、予想に反して彼らはいたって普通に出てきて、自然に木々を利用しました。
枝の間をくぐったりのぼったりする者、葉を食べる者、枝を折り道具に使う者、持ち上げて遊ぶ者、休むためのベッドの材料にする者など、それぞれが好きなように活用していました。
その姿はとても生き生きとしていて、取り付けの苦労も吹き飛び、見ているこちらまで楽しい気分になりました。
残念ながら今回は切った木のため枯れてしまい、この森はなくなってしまいましたが、これからもチンパンジーたちが楽しく快適に過ごせるように、さまざまなことに挑戦していきたいと思います。
写真上:枝を取り付けるようす
写真中:小さな森の完成
写真下:木の下で休む「ジン」
〔多摩動物公園北園飼育展示係 東川上純〕
(2011年04月08日)
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