2010年7月23日から,ヘイケボタルを昆虫園の夜行性昆虫コーナーで展示しています。
ヘイケボタルは、野外では6月中旬から7月頃まで見られ、ピカッピカッピカと速いテンポで光ります。ホタルはオスとメスが出会って交尾するためのコミュニケーションとして光るといわれていますが、光る理由はそれだけではないようです。
動物園のカメラマンに、ゲンジボタルの写真撮影をしてもらったときのことです。撮影は午前中におこない、初めは明るい場所でホタルの姿のみを撮影しました。次はホタルが光っている姿を撮影するために、暗い部屋に移動しました。ゲンジボタルは夜行性のため、暗くなってから30分前後で活発に動き、光りだします。しかし、ホタルが活発に動いてしまっては、写真をうまく撮るのが非常に難しくなります。そこで、まだ暗さに慣れず、動きだす前のホタルに、息を吹きかけて光らせました。
後日、カメラマンから「なぜ息を吹きかけるとホタルは光ったのですか?」と聞かれました。ホタルは卵、幼虫、蛹のときにも光ることがあります。これは、光ることで外敵に対して毒があるという警告を発し、身を守るためといわれています。つまり、息を吹きかけられて驚いたホタルが、自己防衛のために光ったのではないかと思われます。
8月1日に開催するホタルのキーパーズトークでは、ヘイケボタルの成虫と南西諸島に生息するオオシママドボタルの幼虫を使って、みなさんに実際の光り方を確かめていただく予定です。午前11時から、多摩動物公園昆虫園本館昆虫ホールで開催します。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 杉田務〕
(2010年07月30日)
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