2010年3月6日、多摩動物公園でライオンの「ライン」が残念ながら死亡しました。ラインはこれまで繁殖オスとして、大変な貢献を果たした個体です。
ラインは1994年3月9日、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで生まれました。多摩動物公園では1994年からライオンの群れを作りなおすことになり、1995年3月15日、ラインは現在の群れの基礎となる個体として来園しました。
当時ラインは1歳で、前年に来園していた1歳半のウメ、モモ、サクラのメス3頭に比べて体が小さく、これら3姉妹からかなりのプレッシャーを受けていたようです。ラインは2歳になるとメスと交尾するようになり、3姉妹からもオスとして認められ、群れをまとめるようになりました。(この経緯については、東京動物園友の会の雑誌「どうぶつと動物園」1997年8月号と2004年6月号の「飼育レポート」にくわしく紹介されています。)
その後、繁殖が順調に進み、飼育管理の上で繁殖を制限することになったため、ラインは2002年から非公開の場所で種オスとして飼育することになりました。そのため、ラインの存在をご存知ない方がいらっしゃるかもしれません。
いつまでも元気でいてほしかったのですが、昨年(2009年)から水を飲む量が急に増え、餌も徐々に食べなくなりました。馬肉をミンチにしたり、鶏肉を与えたりして給餌内容を工夫してきましたが、今年の2月ごろからさらに食欲がなくなり、3月6日に息を引き取りました。死因は腎不全でした。
ラインはこれまで26頭の子の出産に貢献しました。多摩動物公園には現在、ラインの子が6頭、孫が5頭、くらしています。これからもラインの子や孫たちが活躍してくれることと思います。
多摩動物公園ライオン園の発展に貢献してくれたラインに、「おつかれさまでした。ありがとう」と心から述べたいと思います。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 近藤奈津子〕
(2010年03月20日)
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