2008年10月20日~24日、私を含め、多摩動物公園の昆虫園飼育展示係3人が、沖縄の石垣島・西表島で昆虫の調査・採集をおこなってきました。
私の沖縄のイメージは「青い海と真っ白な砂浜」。でも、私たちの目的は、そんな美しいビーチではないのです。私たちが向かったのは山でした。山ではおもにチョウを採集・調査しました。
運よく天候にも恵まれ(5日連続で気温は30℃以上)、目的のチョウもたくさん採集し、サソリやカメムシなども採りました。
石垣島や西表島での採集の際は、葉の直径が40センチもあるクワズイモや、川沿いに広がるマングローブ、昼間活動するオオコウモリ、日光浴をするキノボリトカゲなど、沖縄特有の動植物を多く目撃しました。その中で思わず興奮したのがハブです。ヘビ好きというわけではないのですが、本物のハブを見た!という感動と興奮でついつい近くで眺めてしまいました。ちなみに、石垣島と西表島のハブは「サキシマハブ」という毒の弱い種類だそうです。
こうして猛暑の中、大汗をかきながらひたすら昆虫採集をしていましたが、夜になったからといって石垣牛を食べつつオリオンビールを飲むわけではありません。私たちには、夜にしかできない大事な仕事があるのです。それはホタル採り。藪の中や山道などを歩き、ホタルの幼虫を探すのです。
目指すホタルはオオシママドボタル。幼虫期も陸上で生活し、発光するホタルです。幼虫の発する光を頼りに夜間採集をおこないました。夜の石垣島は、ホタルだけでなく、道路をオカヤドカリが歩いていたり、「コッコッコッコッ」というヤエヤマハラブチガエルの大合唱が聞こえたり、「ガシャガシャガシャ」とタイワンクツワムシがうるさいぐらいに鳴いていたり、なかなかにぎやかでとても楽しめました。
今回の沖縄出張は展示昆虫の採集が主目的でしたが、昆虫園で飼育している昆虫の野生のすがたや生息環境を自分の目で見ることができました。この貴重な経験を昆虫展示に活かしていくことがこれからの課題です。
写真上:ヤシ園での採集
写真中:クワズイモの巨大な葉
写真下:サキシマハブ
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 牧村さよ子〕
(2008年11月14日)
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