みなさんは、海がなぜ青いのか、深い海がなぜ暗いのか知っていますか?海の中に入った太陽の光は、深くなるにつれ青以外の色が吸収されてしまい、海中に浮遊する微粒子などに青い色だけがあたって跳ねかえり、青く見えるのです。そして、深い海には青い光も届かず、真っ暗になってしまうのです。
でも、そんな深くて暗い海にもいろいろな生物が生活をしています。今回はその中でも不思議な深海の生き物、「トリノアシ」をご紹介しましょう。
トリノアシのなかまは、5億年以上も前には浅い海で生活していたらしいのですが、今では水深 100メートルより深い大陸棚の斜面でくらしています。通常、そう簡単に目にすることができないので、国内外を問わず、標本としても貴重なのですが、じつは、葛西臨海水族園では生きているトリノアシを見ることができます。
そのすがたとかたちは……う~ん、説明がむずかしいので、右の写真を見てください。
ところで、トリノアシをじっくり見ていると、おもしろい行動を見ることができます。たとえば、花びらみたいな「腕」の一本一本に、シダの葉のような細かい枝がたくさんあり、腕を流れにむかって大きくひろげ、流れてくる餌を待ちかまえて捕えて食べていることがあります。
また、トリノアシの茎には巻枝(まきえだ)と呼ばれる細い枝がたくさんあって、これで岩などにしがみついたりしています。水槽の中でしっかりくっついているように見えるのですが、じつは、気づかないくらいゆっくりと移動もします。
少しずつ刻まれる時間、少しずつ動くトリノアシ……5億年の時を超えてひっそり生きてきたかれらとともに、同じ「時の流れ」を水槽の前で感じてみませんか?
〔葛西臨海水族園飼育展示係 伊東二三夫〕
(2008年07月11日)
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